戦術なき予算案・関連法案切り離し採決、統一地方選後に焦点
[東京 28日 ロイター] 民主党政権の国会運営が混迷を極めている。予算案と予算執行の裏付けとなる歳入関連法案の一括採決が常道の国会運営で、政府・与党は11年度予算案と予算関連法案を切り離して衆院通過を強行する構えだが、予算関連法案の成立の見通しがたたないどころか、参院で予算案を審議しながら、衆院で関連法案の修正を協議する歪な国会運営を迫られている。
政府内からは「政策論議というより国会対策の類」(政府筋)と困惑の声が漏れ、野党からは修正協議が本格化するとすれば4月統一地方選挙後との指摘が挙がる。選挙後の民主党内政局をにらみながらの与野党攻防が続く。
衆参で多数派が異なるねじれ国会では、予算関連法案は野党が反対したままでは参院で成立しない。参院で否決された場合には衆院で「3分の2」の勢力で再可決しなければ廃案になる。このため政府・与党は関連法案を参院に送付できないと判断したとみられるが、その先の展望が開けていないのも事実。
予算執行の裏付けとなる関連法案が成立しなければ、党内亀裂が先鋭化している民主党内から首相の政治責任を問う声が出るのは確実だ。逆に、子ども手当法案や税制改正法案など、野党との修正協議の内容次第では、民主党マニフェスト回帰を主張するグループが一段と先鋭化し、マニフェスト破綻を根拠に早期衆院解散・総選挙を迫る自民党など野党が勢いづく可能性も否定できない。菅直人首相や岡田克也幹事長は「子ども手当法案」の修正に含みを残し、事態打開の糸口を公明党に求めている節もみられるが、公明党は統一地方選を前に対決姿勢を崩さず、菅政権は八方塞がりの状態だ。
「今、菅直人首相にとって大事なことは、政策ではない。政局だ。政権運営をどうするかだ。政策で妥協して野党と合意するのか。社民党も入れて、もう一度、3分の2を確保するような仕事をするのか。亀井代表が言ったような救国内閣を作るのか」──。民主党と連立を組む国民新党の下地幹郎幹事長兼国会対策委員長は28日の衆院予算委員会で、菅首相の政権運営の稚拙さを公然と追及。「予算を通すために何をするかは去年の9月の段階から決まっていた。318という3分の2の数を使うか使わないかではなく、まとめておくことが政治の王道だった」とまくしたてた。
公明党からそっぽを向かれ、社民党からも反発をかい、民主党内の造反も加わって衆院での「3分の2」再可決のための数の確保は遠く及ばない。仮に政府・与党が自民党の予算案組み替え動議を丸呑みすれば、予算案の自然成立後に「減額補正」で対応するとの声が自民党内から浮上するほど事態は混乱気味だ。もっとも、民主党の看板政策の子ども手当や高校授業料無償化などの撤回を求める自民党の予算案組み替え動議が受け入れられるはずもなく、財政健全化責任法案と併せて、民主党マニフェスト破綻を浮き彫りにし、解散に追い込むのが自民党の戦略とみられる。
(ロイターニュース 吉川 裕子:編集 村山圭一郎)
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