ドル/円は底堅い展開か、ユーロはショートカバーが相場を下支え=来週の外為市場
[東京 10日 ロイター] 来週の外国為替市場で、ドル/円は引き続き底堅い展開になりそうだ。ギリシャ問題に対する懸念が後退、投資家のリスク選好が改善する中で、円、ドルともに売られやすい状況にあるが、日本の経常収支問題や米長期金利の上昇などを手掛かりに、円はより売られやすい。ユーロも引き続きショートカバーが相場を下支えしそうだが、ギリシャ問題が決着すれば材料出尽くしで、反落リスクを指摘する声も出ている。
予想レンジはドル/円が76.50─78.20円、ユーロ/ドルが1.3050─1.3450ドル。
<米経済指標>
今週のドル/円は徐々に下値を切り上げる展開となった。リスクオンの流れの中で、米ドル、円ともに売られやすい状況にあるが、米ドルと円の通貨ペアでは、米追加緩和期待の後退や米長期金利上昇などを背景に、ドル買い/円売りに傾きやすくなっている。加えて、現在は日本の経常収支や覆面介入など「日本発の材料」に海外勢が反応、これがドル買い/円売りの動きに拍車をかけている。
米経済指標が堅調なことも、ドル/円をサポートしている。9日に発表された2月4日までの週の米新規失業保険申請件数は予想よりも大幅に減少。この結果、市場参加者の間に米経済成長が今年加速するとの期待が広がり、ドル/円相場を下支えした。
こうした中、14日に1月米小売売上高(予想:前月比+0.6%、前月:+0.1%)、15日に1月鉱工業生産(予想:前月比+0.6%、前月:+0.4%)、16日に1月米住宅着工件数(予想:年率67.1万戸、前月:年率65.7万戸)、2月米フィラデルフィア地区連銀業況指数(予想:8.5、前月:7.3)などが発表される。
UBS銀行東京支店外国為替ストラテジスト、植野大作氏は「来週はバランスよく米国の経済指標が発表される。1つ1つの統計をみると、雇用統計ほどの注目度はないが、米国経済の健康状態を総合的に判断する投資家にしてみれば、いろいろな側面からチェックできる。経済指標はしっかりという雰囲気になれば、ドル/円がサポートされる可能性がある」との見方を示した。
<78円前半>
ドル/円は今後、節目の78.00円や前月につけた戻り高値の78.20─78.30円が意識されそうだが、市場では78円前半では上値が重くなるとの見方が多い。
シティバンク銀行チーフFXストラテジスト、高島修氏は「ドル/円と相関の高い米2年金利は昨年8月以降0.3%が上限となっており、この間、円売り介入時を除くとドル/円は78円台の壁を突破できていない」と指摘。その上で、1)200日線などが集結する78円前半はテクニカル的にも強いレジスタンス帯、2)78円台では本邦輸出企業のドル売り動意が相応に強まりそうで、ユーロ/円102円台以上も自然体で売り上がる方針、3)為替証拠金トレーダーもクロス円主体に円ショートの手仕舞い優勢──として、「ドル/円は78円前半で頭打ち」との見方を示した。
みずほ証券FXストラテジスト、鈴木健吾氏も「上値をトライする場面はあるかもしれないが、長続きはしないだろう」と口を揃える。同氏は「介入が意識されていた水準から離れてきたことに加え、12月日銀短観での企業の想定為替レートは下期77.90円だ。この辺を抜けてくることになれば、3月末が近づいていることもあり、輸出企業は無理せずに円を取ってくるだろう。こうしたフローも出てくると、これ以上、抜ける感じはしない」とコメントした。
ただ、78.20─78.30円を上抜ければ、ストップロスを巻き込んで78円半ばまで上昇する可能性もある。
<日銀>
日銀は13─14日に金融政策決定会合を開催する。市場では現状維持予想が目立っているが、白川方明総裁が連日国会に呼ばれるなど、日銀包囲網が狭まりつつあり、追加緩和の可能性も否定できない。仮に日銀が追加緩和に踏み切れば、ドル/円の底堅さにつながる可能性がある。
<ユーロ>
ギリシャの連立与党党首は9日、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)から第2次支援の条件として求められていた財政緊縮策と改革案について合意に達した。しかし、9日のユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は、ギリシャ議会が合意を承認することが先決として、支援実施の決定を見送った。
会合終了後、ユンケル議長は、第2次支援の決定に必要な要因は9日時点ではすべて出そろっていないと指摘。ギリシャに対し、1)EU・IMFとの合意事項を12日のギリシャ議会で承認する、2)3億2500万ユーロの追加的な構造的歳出削減策を15日までに策定する、3)連立与党党首が緊縮策・改革の実行を保証する──の3つを承認の条件として提示した。ユーログループは、15日までの追加歳出削減策提出を受けて再度開催される予定。
レーン委員は会合終了後、民間債権者とのギリシャ債務交換協議が事実上まとまったと明らかにした。同委員は「ギリシャの債務負担軽減への民間部門の関与(PSI)についての合意案はほぼまとまった。包括パッケージとしては来週、正式に承認されるはずだ」と述べ、「これでギリシャの債務負担は極めて大幅に削減され、10月の欧州首脳会議で目標に定めた対GDP(国内総生産)比120%へと縮小するだろう」との見方を示した。
市場では、最終的には「秩序なきデフォルト(債務不履行)」は回避されるとの楽観的な見方が目立っており、ユーロは2カ月ぶり高値圏で推移している。ただ、先行きについては、ユーロ圏の景気減速懸念や欧州中央銀行(ECB)の緩和スタンスなどから慎重な見方が目立つ。
UBS銀行の植野氏は「ギリシャ問題がまとまってしまえば、材料出尽くしになるのではないか」と指摘。その上で「ギリシャから目が離れて冷静になると、ファンダメンタルウォッチに変わってくる。欧米の景況格差や金融政策の味付けの違いなどに目が行きやすくなり、今まで上がっていた分の反動の方が強くなるのではないか」との見方を示した。
ドラギECB総裁は9日、理事会後の会見で「入手できる指標から、低水準ではあるが、年末年始あたりに経済活動に一時的な安定化の兆候が出ていたことが確認できる」と指摘したが、指標などの明るい兆しは出始めたばかりとし、依然として金利が1%を下回る可能性があることを示唆した。
(ロイターニュース 志田義寧)
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