〔株式スコープ〕トヨタ<7203.T>に業績予想上振れの思惑、価格交渉の結果も株価を左右

2008年 05月 9日 13:04 JST
 
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   <東京市場・9日>

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        |    │    │アナリスト・レーティング分布|    │

   銘柄    │ 終値 │ 前日比 ┼──┬──┬──┬──┬──┼目標株価│

         |    |    | B| O│ H│ U│ S│    │

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トヨタ(7203.T: 株価, ニュース, レポート)  |  5320|  ─160|  8|  7│  6│  0│  0│  5900│

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新日鉄(5401.T: 株価, ニュース, レポート)  |   604|   ─6|  5|  2│  6│  2│  0│   680│

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*単位は円。

*データはロイターエスティメーツによる

1)レーティングの略称は以下の通り(左側から最上位「B」─最下位「S」で配列)

 B=Buy、O=Outperform、H=Hold

 U=Underperform、S=Sell

2)目標株価はアナリスト平均。アナリスト数は、トヨタが15人、新日鉄が8人。

 水野 文也記者

 [東京 9日 ロイター] 大幅な減益予想を8日に発表したトヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)が、

9日の市場で下げ渋っている。トヨタの見通しに対して「保守的」との声が市場では多

く、為替や世界経済の行方によっては上振れの可能性もあるとみられているためだ。鉄鋼

メーカーなどとの原材料価格交渉が有利に決着すれば、さらに上振れ要因が加わる展開に

なり、トヨタ株の買い材料になりそうだ。反面、そうした結果になれば素材メーカーの業

績圧迫要因になるだけに、今後の価格交渉をめぐる素材メーカーと加工メーカーの綱引き

の行方が、両業種の株価動向を大きく左右しそうだとの見方が市場で浮上している。

 <トヨタは売り一巡後に下げ渋る>

 トヨタが8日に発表した2009年3月期連結営業利益見通し(米国会計基準)は前年

比29.5%減の1兆6000億円にとどまり、9年ぶりの営業減益。ロイターエスティ

メーツによる主要アナリスト20人の予測平均値1兆9986億円を大きく下回った。こ

れまで予想営業利益が1兆7000億─1兆8000億円程度と一部で報じられた経緯が

あり「この観測が個人投資家のコンセンサスになっていた可能性があり、機関投資家のみ

ならず市場全体でネガティブサプライズ感を誘った」(中堅証券幹部)という。

 市場では「2割程度の営業減益までは織り込んでいただろうが、実際は3割近い減益予

想。市場の予測を下振れたことで、いったんは売り材料となるかもしれない」(リテラ・

クレア証券理事の井原翼氏)との声も出ていたため、9日の株式市場において同社株の動

きが注目されたが、朝方に売り気配で始まった後、一時は前日比で260円安の5220

円まで下げてからは次第に戻り歩調に転じ、前引けは同160円安の5320円となった。

 全体の相場に与えた影響についても「自動車株などに安い銘柄が目立ったが、トヨタの

影響というよりも、ここ一両日でドル安/円高に振れた為替相場が理由として大きい。日

経平均の下げ幅が100円台であることからすると“トヨタショック”という動きとは言

えない」(準大手証券情報担当者)と指摘されている。

 <保守的な見通し、むしろ信頼性を高める>

 トヨタが下げ渋ったのは、慎重な見通しを立てた姿勢そのものが評価されたとみる関係

者が少なくない。トヨタ側の収益見通しについて「世界販売906万台は前期からほとん

ど伸びていない。北米販売にいたっては減少を予想しており意外感がある。為替、米国経

済減速、原材料費上昇など様々なリスクを織り込んだ保守的な数字といえる」(UBS証

券のシニアアナリスト・吉田達生氏)といった指摘があるなど、アナリストの間では保守

的であるとの見方が支配的だ。

 ゴールドマン・サックス証券・アナリストの湯澤康太氏は「会社計画はあらゆるリスク

を織り込んだ最低水準。29%減益のガイダンスが同社の相対的な優位性を揺るがす事象

ではない」とし、買い推奨を継続している。

 市場関係者の間からは「米国景気の動向にもよるがこれだけ保守的にみておけば、今後

の下方修正リスクは乏しいとの受け止め方になっている」(いちよし証券・投資情報部チ

ーフストラテジストの高橋正信氏)との声も出ており「変わらぬ骨太の経営姿勢に信頼感

が高まる」(モルガン・スタンレー証券・アナリストの平形紀明氏)といった点から、下

値が買われる理由になったようだ。

 <企業業績は「素材と加工の綱引き」に関心>

 他方、今後はトヨタの収益がどの部分で上積みされてくるかがポイントになる。とりわ

け交渉の仕方によって収益が大きく左右される原材料価格に注目する関係者が少なくない。

 最低限の予想との見方から、トヨタは鋼材価格の値上げをかなり織り込んだ数値を示

したとみられている。

 一方で、素材メーカーなどは「値上げ交渉への影響を考慮し、強気の収益予想を控える

傾向が強い」(準大手証券情報担当者)という。たとえば09年3月期の見通しについて

大幅減益予想になると発表した新日本製鉄(5401.T: 株価, ニュース, レポート)は、どの程度の値上げを要請している

かといった業績に直結する詳細は、明らかにしなかった。

 市場では「いずれも大幅減益を想定したトヨタと新日鉄は、お互いにけん制しているよ

うに感じる。価格交渉次第でどちらも収益上振れが見込めるようになるとみられるため、

交渉の行方が重要になろう。これは両社以外でも言えることで、素材と加工両業種の綱引

きが、個別の株価形成において関心を集めることになりそうだ」(明和証券・シニアマー

ケットアナリストの矢野正義氏)との指摘もある。

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(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)

 
 

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