〔株式スコープ〕不動産株にゼファー<8882.T>の連想売り、9月に向けて正念場
<東京市場・22日>
━━━━━━━━━━━┯━━━━━━┯━━━━━━┯━━━━━━┯━━━━━━┯
関連業種 | 前場終値 | 前日比 | 年初来高値 | 年初来安値 |
━━━━━━━━━━━┿━━━━━━┿━━━━━━┿━━━━━━┿━━━━━━┿
不動産業 | 1185.26| ─12.82| 1589.37| 1059.57|
━━━━━━━━━━━┷━━━━━━┷━━━━━━┷━━━━━━┷━━━━━━┷
水野 文也記者
[東京 22日 ロイター] 不動産株の下げ相場が厳しさを増している。
ゼファー8882.Tが18日に民事再生手続き開始を東京地裁に申請したことがきっかけだ
が、業界環境はさらに悪化するとの見方も出ており、連想売りが広がっている状況だ。
金融機関が四半期累計決算(旧中間決算)を迎える9月に向け、ここからが正念場になる
との見方も出ている。
1年前まで好調が際立っていた不動産業界は、改正建築基準法の施行による建築確認の
長期化が注目された昨年後半から変調が目立ち、その後の不動産融資縮小、それに伴う急
激な市況軟化と坂道を転がり落ちるように状況が悪化している。金融機関の不動産業界に
対する姿勢が厳しさを増し、資金繰りを悪化させる企業が増えているという。
資金繰りに行き詰まり民事再生法申請に追い込まれたゼファーの飯岡隆夫社長も、18
日に行われた会見で「金融機関の不動産セクターへの融資姿勢は1、2、3月と月を追う
ごとに非常に厳しくなった」と述べていた。
<金融機関の融資姿勢、不動産業界向けは慎重さ増す>
金融機関の融資姿勢が慎重となった当初は、サブプライムローン(信用度の低い借り手
向け住宅ローン)問題の深刻化を背景に、欧米金融機関を中心に不動産証券化に不可欠な
ノンリコースローンをめぐり、融資に対する姿勢の変化を背景に対象の選別化が進展。投
機的な案件に対する融資が手控えられるといった側面が強かった。
しかし「ここにきて、全体的に不動産融資に対し、慎重になる傾向が出てきた。その要
因として高騰したマンションの買い控えなどを背景にした市況悪化も大きい。在庫を売ろ
うにも売れずにバランスシートは悪化する方向で、金融機関が融資に慎重になるのは当然」
(証券系調査機関の不動産担当アナリスト)という。
こうした状況に関してクレディ・スイス証券・アナリストの大谷洋司氏は「ファイナン
スの問題から、市況悪化そのものに不動産不況の焦点が移った」とした上で「不動産の価
値が下がり、投売りが出て、さらに価格が下がる──といった負の連鎖が始まった。今回
の不況は大手クラスも無傷で済まないのではないか」と指摘している。
市場では「今後も業界環境が一段と悪化するとの見方が多く、ゼファーからの連想売り
が中堅クラスを中心に今後も広がる可能性もある」(準大手証券情報担当者)との声も出
ていた。
<追い貸し受けられない企業、株価変動大きくなるリスク>
もっとも株式市場全体への影響は、それほど大きくなっていない。不動産株の中にはス
トップ安に沈む銘柄が目立ったが、気にする様子もなく、日経平均は堅調に推移している。
市場では「中堅クラスを中心に不動産株が大きく崩れたものの、こうした悪材料もマー
ケット全体の足を引っ張った雰囲気は感じられない。前場中盤から株価の戻りが全体的に
鈍くなったのは、東証のシステム障害が影響したのではないか」(SMBCフレンド証券
・投資情報室次長の松野利彦氏)といった見方もあった。
サブプライムローン問題に関連した国内金融機関の影響が軽微で、1980年代後半の
土地バブル崩壊後に見られたように、国内不動産市況悪化をきっかけにした金融不安の高
まりといった現象は、大きく膨らまないだろうとみられている。そのため株価全体への影
響は限定的になっているものの、不良債権の拡大にこりている金融機関が先手を打って不
動産会社の資金の蛇口を閉め、苦境に陥った不動産会社を追い込むとの指摘もある。
先の証券系調査機関の不動産担当アナリストは「借り手が一行集中していたないためリ
スクが分散され、過去とは異なり銀行自体に体力がある。このため厳しい企業に対しては
追い貸しせずに償却を考えるとみられる」と指摘。その上で「9月の決算では、金融機関
が締めてかかることも想定され、不動産セクターはここから正念場を迎えることも想定で
きる。思惑が生じやすく、株価は変動が大きくなりそうだ」と話していた。
記事中の企業の関連情報は、各コードをダブルクリックしてご覧ください。
(ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)
© Thomson Reuters 2009 All rights reserved.



日本
米国