〔焦点〕経済問題でオバマ氏に脚光、ブッシュ大統領の影が一段と薄れる
[シカゴ 26日 ロイター] 米国の大統領はいちどきに1人と決まっているかもしれないが、今週のオバマ次期大統領の行動を見る限り、そうとは感じないだろう。
民主党候補として大統領選を戦い、勝利したオバマ氏は当選後3週間、目立たないように行動を控えてきたが、ここにきて経済に関する一連の発言や閣僚人事発表で行動に移り、現職のブッシュ大統領の影を薄くさせている。
金融市場が一段のリーダーシップを強く求めるのなら、メッセージを携えているのはオバマ次期大統領だ。
ジョージタウン大学のスティーブン・ウェイン教授は「リーダーシップの空白が存在している。オバマ氏がそれを埋めなければ、短期的にはさらに大きなパニックが生じるだろう。また、オバマ氏が正式に大統領に就任するまでに問題は大きくなる」と指摘。「今行動できる権限は依然としてブッシュ大統領にある。しかし不安を募らせている米国民に今後の計画を伝えるのはオバマ氏の義務だ」と述べた。
オバマ氏は24日、記者会見を開き、経済閣僚を発表した。新しい経済チームのメンバーと星条旗に囲まれた次期大統領は、新たに積極的な景気対策をまとめ、米経済を立て直すと約束した。
25日には行政管理予算局(OMB)の局長を指名し、無駄な歳出を大幅に削る意向を示した。
両日ともにオバマ氏は記者団からの質問を受け付けた。新しい財務長官に起用されたガイトナー・ニューヨーク連銀総裁ら新政権の面々はオバマ氏の背後に立ち、黙ったままだった。
オバマ氏は26日も記者会見を予定している。
一方、ワシントンのブッシュ大統領はポールソン財務長官とコーヒーをともにして歓談。記者団には、金融システムを守る措置について次期大統領と引き続き連絡をとっていると語り、ケンタッキー州の米軍の視察に出かけた。
差し迫った課題である経済については、オバマ次期大統領がブッシュ大統領のお株を奪った格好で、25日には、次期大統領がしばしば口にする「米国には1度に1人しか大統領はいない」という言葉について記者団からの質問が飛び出した。
そうした事実と経済への関与の折り合いをいかにつけるのか、との質問に対してオバマ氏は「1度に1人しか大統領はいない。その大統領はジョージ・W・ブッシュだ。私が1月20日に宣誓するまでは彼が大統領だ」と答えた。
「(ただ)われわれが第1級のチームを構築していることを米国民が理解し、新政権をつまずかせるつもりはないことを明確にするのも非常に重要だと思う」と語った。
<リーダーシップの空白>
これまでのところ、つまずきは何もない。景気対策規模を明言しなかったことで24日の米株市場では一時上げ幅が削られたが、閣僚の指名については称賛を浴びている。
オハイオ州立大学のポール・ベック教授は今回の政権移行について、大恐慌後、1932年に民主党のルーズベルト大統領が共和党のフーバー大統領から政権を引き継いだ状況を想起させると指摘した。
「こんなふうに次期大統領が関与するのは普通ではない。しかし今は平時ではない」とし、金融市場で真剣には受け取られないほどブッシュ大統領の信頼性は低下してしまったと語った。
教授は「経済は政権移行が完了するのを待ってくれない。それが1932年の問題だった。そしてその後に大統領の就任式が3月から1月に移された。今やわれわれは1月でも遅いくらいだということが分かった」と話す。
オバマ次期大統領は1月20日にブッシュ大統領から政権を引き継ぐ。次期大統領は米議会が新しい会期に景気対策案を迅速に審議するよう要請し、米国民に向けては、スタートから主導権を掌握すると請け負った。
オバマ氏は25日、「本格的に活動を開始していく。行動のための明確な計画を練っていく」と言明した。
バージニア大学のラリー・サバト教授はオバマ氏とブッシュ大統領の行動について、両サイドによって調整されていると指摘する。
「ブッシュ大統領は目が見えないわけではない。大統領は支持率が極端に低いことを知っている」と同教授は語った。
「今回の危機は本格的で、両大統領とも完全なる崩壊は望んでいない。従って、信頼性のある大統領であるオバマ氏が主導権を握り、ブッシュ政権は黙認している」という。
(Jeff Mason記者;翻訳 関佐喜子 ;編集 佐々木美和)
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