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〔クロスマーケットアイ〕安倍首相誕生織り込み円安・株高、海外経済厳しく「胸突き八丁」
2012年11月16日 / 05:47 / 5年前

〔クロスマーケットアイ〕安倍首相誕生織り込み円安・株高、海外経済厳しく「胸突き八丁」

 <東京市場 16日> ━━━━━━━━┯━━━━━━━━┯━━━━━━━━┯━━━━━━━━━┯     日経平均  | 国債先物12月限 |  国債325回債  | ドル/円(12:00)| ━━━━━━━━┿━━━━━━━━┿━━━━━━━━┿━━━━━━━━━┿    8995.91円  |    144.68円    |     0.735%    |   81.11/13円    | ━━━━━━━━┿━━━━━━━━┿━━━━━━━━┿━━━━━━━━━┿      +166.19円  |     +0.09円    |   +0.005%   |    81.16/18円   | ━━━━━━━━┷━━━━━━━━┷━━━━━━━━┷━━━━━━━━━┷ 注:日経平均、国債先物前引け、現物の価格は午前11時の値。     下段は前営業日終値比。為替はNY午後5時。    [東京 16日 ロイター] マーケットは早くも自民党の安倍晋三首相誕生を織り込 み、円安・株高が進んでいる。安倍氏が掲げる積極的な金融緩和や財政出動などへの期待 が先行している格好だ。ただ、肝心の選挙はこれからで、政策の実現性には疑問もあるほ か、海外経済の厳しさは一段と増している。ドル/円や日本株は「胸突き八丁」の正念場 に差し掛かっているとの見方も多い。   <円安次第の株高>   日経平均.N225は16日前場までに、この2日間で約350円上昇。取引時間中とし ては1週間半ぶりに9000円を回復した。一方、過去2日間で米ダウ.DJIは1.6% 下落、FTSEユーロファースト300種指数.FTEU3は1.8%下落、上海総合指数 .SSECも16日前場までに2%下落しており、日本株は連日の逆行高となっている。   野田佳彦首相が14日の党首討論で16日の衆院解散を明言したことで、支持率が現時 点で最も高い自民党の安倍総裁が次期首相になるとの見方が強まり、積極的な金融緩和を 求める姿勢などを手掛かりに円安が進行。出遅れ感の強かった日本株に買い戻しが加速し ている格好だ。「海外勢だけでなく国内勢の買い戻しも入っている」(大手証券トレーダ ー)とされ、午前の東証1部売買代金は7035億円と膨らみ、先高期待も出てきた。   ただ、セクター間の動きをみる限り、ポジション調整の範囲を出ていないことも確かだ。 16日前場の市場ではオリエンタルランド(4661.T)や、ディー・エヌ・エー(2432.T)、 グリー(3632.T)など好業績株や高パフォーマンス銘柄が売られる一方、パナソニック (6752.T)やソニー(6758.T)、キヤノン(7751.T)などこれまでさえなかった輸出株が上昇。 ディフェンシブ銘柄から景気敏感株へのシフトが加速している。   これらディフェンシブ企業の業績見通しが悪化したわけではなく、円安進行をきっかけ に、海外勢などが輸出株売り・内需株買いのポジションを巻き戻していることがマネーシ フトの背景とみられている。「積極的に日本が変わると考えて買っている向きも一部には いるだろうが、弱気なポジションを取っていた投資家が巻き戻していることが、株価上昇 の背景にある」(大和住銀投信投資顧問・経済調査部長の門司総一郎氏)という。   円安以外に輸出企業の業績改善が期待できる材料が出ているわけではなく、円安が止ま れば日本株の上昇も止まるという「円安次第の日本株高」(国内証券)であり、「日経 9000円付近では、国内年金や公的資金系などの売りが出てきやすい。ここからが正念 場だ」(東洋証券・情報部長の大塚竜太氏)との見方も多い。   ドル/円は前日の海外市場で81.46円まで上昇して4月25日以来の高値を付けた が、一服感も出始めてきている。バークレイズ銀行のチーフFXストラテジスト、山本雅 文氏はドル/円について「目先は日銀法改正、白川総裁早期退任観測やネガティブ金利政 策といった極端な材料までこなしつつ上昇していることから、これ以上期待が膨らむ可能 性は低そうだ」との見方を示している。   <円債市場にはネガティブ要因も>    また、安倍総裁が掲げる政策が実現するかどうかもまだわからない。12月16日と 想定されている総選挙までには1カ月あり、どのような政権が樹立されるかは未知数だ。   りそな銀行のチーフマーケットストラテジスト、黒瀬浩一氏は「市場では選挙の争点が 為替相場のように思われているが、実際には自民党の原発推進政策、公共投資拡大などが 争点だろう。本当に国民がこのような政策を受け入れるのか。市場が期待しているほど自 民党の票が伸びない可能性もある」と指摘する。   さらに円債市場では、安倍総裁が掲げる政策のネガティブな影響を懸念する声もある。 安倍総裁が15日の講演で、日銀はゼロかマイナス金利にするぐらいにして貸出を高めて もらいたいと発言したことで、現時点では超過準備の付利引き下げへの思惑が高まり、株 高にもかかわらず円債先物は上昇している。しかし、「インフレ目標や、財政拡張による 景気刺激、デフレが継続した場合の消費増税延期といった安倍氏の発言をみれば、債券売 りの材料も多く隠れていることには十分に留意すべき」(みずほ証券マーケットエコノミス トの河上淳氏)との懸念も強まっている。   <米個人消費に懸念も>   独歩高を続ける日本株をよそに、海外株は依然軟調だ。米国の「財政の崖」への懸念が 続いており、海外勢は「淡々とリスクオフを進めている」(米系証券)という。国内材料 が一巡すれば、日本株が利益確定売りの対象にされる可能性もある。   米株上昇の象徴的な存在だった米アップル(AAPL.O)の株価は、15日終値で525ドル まで下落し、今年2月27日の水準まで落ち込んだ。上場来高値705ドルを付けた9月 21日から、3カ月足らずで25%の急落となっている。   また米小売り最大手ウォルマート・ストアーズ(WMT.N)が15日発表した第3・四半期 (8─10月)決算は、売上高が予想を下回り、同社株は3%を超える値下がりとなっ た。同社のホーリー最高財務責任者(CFO)は「現在のマクロ経済状況が消費者を圧迫 している」と指摘。米国経済の回復を支えていた個人消費にも懸念が出始めている。   米国の政府債務は約16兆ドル、州の債務も4兆ドルある。「財政の崖」がたとえ回避 されたとしても、20兆ドル(1ドル81円で1620兆円)にのぼる「借金」が消える わけではない。いずれ財政再建に取り組まなければならないことには変わらず、T&Dア セットマネジメントのチーフエコノミスト、神谷尚志氏は米株安の背景について「財政緊 縮による景気減速を織り込み始めているのではないか」と分析している。    (ロイターニュース 伊賀大記;編集 山川薫)

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