May 10, 2018 / 6:17 AM / 4 months ago

〔兜町ウオッチャー〕19年3月期は増益率鈍化の公算、保守的予想でも楽観広がらず

[東京 10日 ロイター] - 東証1部3月期決算企業の2019年3月期経常利益は、伸び率が前期に比べ大きく鈍化する見通しだ。想定為替レートを保守的に円高水準に設定したことが大きな要因だが、世界景気のピークアウト懸念もあり、市場に楽観ムードは広がっていない。米減税効果の反動もあり、純利益ベースでは微減益の見込みとなっている。

<円高設定は本当に「保守的」か>

みずほ証券の集計によると、3月期決算を開示した東証1部上場企業の19年3月期経常利益は9日時点で前年比2.4%増の見通し(時価総額ベースで開示率47.7%、金融除く)。まだ開示率は半分弱だが、好調な世界景気を背景に18年3月期は19.5%増となっており、増益率は大きく低下する可能性が大きい。

大きな要因は為替だ。前期実績は1ドル110円程度だったが、今期の想定レートは100─105円が多い(表参照)。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3月時点の試算によると、1円の円高は、主要企業の営業利益(金融を除く、社数500弱)を0.48%押し下げる。

ドル/円は3月下旬に104円台に突入する場面があったが、足元では109円後半まで円安が進んでいる。このため、100─105円の設定は「例年よりも保守的」(銀行系証券)との見方も多い。足元の為替水準がこのまま続けば、業績の上振れ期待が高まる。

しかし、企業サイドからは慎重な声が多い。日立製作所の西山光秋・最高財務責任者は「各国の間の貿易摩擦などが悪化すると、ワールドワイドで経済の低迷、リスクオフの円高になる環境がある」と指摘。日本電産の永守重信会長兼社長も「場合によっては(ドル/円は)100円を切るかもしれない」と警戒している。

岡三証券・日本株式戦略グループ長の小川佳紀氏は「為替面での業績押し上げ効果については、確信が持てるようになるのはもう3カ月、もしくは半年ぐらいの時間が必要」とし、減税効果がはく落した後の米国景気の先行きなど、外部環境をさらに見極めなければならないと話す。

<世界景気にも慎重な見方相次ぐ>

世界需要についても慎重な見方が企業側から寄せられている。

ホンダの倉石誠司副社長は米国市場全体の見通しについて「安定した経済状況や個人消費の増加はあるが、買い替え需要が一巡するなどで調整局面と認識している」と述べ、「昨年からさらに減少し、1700万台前後」との予想を示した。

フォスター電機の今期連結営業利益予想は、スマートフォン向け部品の需要の伸び悩みなどを背景に、前年比40.9%減の見通し。発表翌日の株価はストップ安となった。市場では「アップルに限らず、米中貿易摩擦の影響による中国のスマホメーカー向けの部品需要の動向が警戒される」(準大手証券)との声が出ている。

みずほの決算集計によると、金融を除く全産業の純利益は0.2%減とわずかながら減益の見込み。米国の法人税率引き下げに伴い、自動車大手が繰延税金負債の取り崩しを行い前期の利益が押し上げられた反動が響く。

フェアラインパートナーズの堀川秀樹代表は「(直近の好業績は例外的で、この水準が続かないと幹部が発言したとされる)米キャタピラーと同じように、日本企業も業績面で『ピークアウト』となる懸念がぬぐえない。日本株についてはここから一段高を期待するより、下方向を警戒するような動きが主流になる可能性がある」とみる。

<原油高など新たな懸念要因が浮上>

日本経済新聞社が公表するPER(株価収益率)をもとに算出した予想EPS(1株利益)は、9日時点で約1722円。日本電産が3月期決算企業として先陣を切って決算発表を行った4月24日時点と比べると、1.5%の上昇にとどまっている。

同日終値から9日までの日経平均は0.58%高、TOPIXは0.18%高とほぼ横ばい。ファナックやソニーなど、市場予想を下回る今期の業績予想を発表した後に急落した主要銘柄もあった。全体相場にショック安が広がることはなかったが、業績期待が株価を押し上げる展開には至っていない。

ソシエテ・ジェネラル証券の株式営業部長、杉原龍馬氏は「米国では好決算が続いた半面、日本企業の決算はここまで強く印象に残るような好決算が少ない」と指摘。「世界の貿易が堅調であれば、日本企業は為替に頼らず稼ぐことができる、だが、海外勢は根強く日銀のテーパリングリスクを気にしており、思い切って買い上がれない理由となっている」と見る。

さらに足元では、原油高が進行。原油や原材料価格の上昇による直接的な企業のコスト負担は限定的だとしても、消費への影響などには警戒も必要だ。いまのところ、マーケットに円安による業績上積み期待は広がっておらず、むしろ業績の下振れリスクに目を凝らす局面が続いている。

長田善行 取材協力 企業担当チーム、編集:伊賀大記

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