February 28, 2018 / 1:45 AM / 6 months ago

〔円高と業績(下)〕日本株の「上昇気流」弱まる、来期は米税制改革もマイナス要因に

    [東京 28日 ロイター] - 日本株に吹いていた「上昇気流」が弱まってきた。
2018年度も国内企業の業績は増益が続く見通しだが、このままドル/円が11
0円を大きく割り込む円高水準で推移すれば、伸び率鈍化は必至。足元のドル安/円高の
一因である米税制改革の効果も来期はマイナスに働く。欧米株に比べ相対的な割安感は強
まりにくく、株価の上値を抑える要因になっている。
    
    <100円なら3.5%増益に鈍化>
    
    足元の企業業績は絶好調だ。SMBC日興証券のまとめによると、2017年4─1
2月期の決算発表を行った東証1部上場企業(除く金融、開示率99.8%)の経常利益
は19.0%増、純利益は累計で29.6%増となった。
    
    18年3月期の会社計画に対する進捗率は、純利益で9割超。現時点での18年3月
期予想は、経常利益で14.3%増、純利益で18.9%増だが、上振れの期待が膨らむ
。
    2月に入って円高が進んでいるものの、為替予約が進んでいることもあり、18年3
月期は、それまでの「貯金」で大幅増益となる見通しだ。
    
    しかし、来期(19年3月期)はそうはいかない。三井住友アセットマネジメント・
シニアストラテジストの市川雅浩氏によると、同社が調査対象とする224社(金融除く
)の18年度の経常利益は、1ドル110円が前提なら前年度比9.5%増となる見通し
だが、105円の場合は6.5%増、100円の場合は3.5%増となる。
    
    1ドル100円でも減益にはならない。「世界的にみて緩やかな景気拡大局面は続く
だろう。先進国、新興国ともに成長率が伸びることで、企業の売上高が増加し、利益をけ
ん引する」(市川氏)という。しかし、円高が進行すれば、来期の増益率は、今期と比べ
大きく鈍化する見通しだ。
    
    <米国に見劣りする業績モメンタム>
    
    ドル安/円高の一要因とされる米税制改革。大型減税などで財政赤字が今後10年間
に約1兆5000億ドル拡大すると試算されており、財政規律の弛緩(しかん)が懸念さ
れている。米景気が拡大すれば、日本企業も円高デメリットをカバーする米市場での売上
増につながるが、来期に税制面でのプラス効果は期待できない。
    
    UBS証券ウェルス・マネジメント本部の居林通氏の試算によると、日本企業の18
年3月期の純利益は21%増だが、このうちの8%は米法人税減税による繰延税金負債の
取り崩しに伴う一過性の利益だ。「18年3月期は複数年度分のプラス影響がまとめて出
るが、来期は単年度分しかプラスが出ないため(前年比で増益率に対しては)マイナスに
働く」という。
    
    トヨタ自動車は、北米での金融事業に関わる繰延税金負債を取り崩し、17
年4―12月期に2919億円を利益として計上した。日産自動車、ホンダ<726
7.T>も法人減税に伴う利益を計上。3社合計でその影響額は約8500億円に上っている
。
    
    会計上の影響は米企業でも同じだが、米国内への資金還流(リパトリエーション)促
進策など米国内の経済や業績にはプラス効果が大きい。国連貿易開発会議(UNCTAD
)は約2兆ドルが米国に流入すると試算している。
    
    トムソン・ロイターが算出する米S&P500構成銘柄の増益率は18年4─6月期
以降の3四半期で17─21%と日本企業を大きく上回る。「リパトリ減税やドル安で米
国企業の競争力が強まれば、日本やドイツなどの製造業の業績に対しては逆風となる」(
銀行系証券)との懸念も日本株を圧迫している。
    
    <弱い業績予想に容赦ない売り>    
    
    19年3月期業績予想に対するマーケットの厳しい反応は、すでに今期(18年12
月期)予想を発表している12月期決算企業に如実に表れている。
    
    市場予想を下回る今期営業利益予想を発表したブリヂストンや、最終減益見
通しの日本電気硝子の株価は今期見通しを発表した直後に急落。弱い業績予想を
開示した銘柄に対し、市場は容赦なく売りを浴びせた。
    
    企業が市場実勢よりやや円高水準とする保守的な想定為替レートや業績予想を置きや
すいことは、市場も承知しているが、優しく見守るのは今回難しいかもしれない。
    
    「今後の為替相場の動向次第ではコンセンサスと会社側の計画が乖離することも考え
られる。(3月期決算企業に対しても)株価の初期反応にはかなりの警戒が必要だ」とフ
ィリップ証券リサーチ部長の庵原浩樹氏は話す。
    
    日本株はこうした円高による業績懸念が圧迫し、米国株と比較してパフォーマンスが
さえない(表参照)。
    
    *主要株価指数の年初来騰落率(日本時間28日午前8時時点、現地通貨ベース)
        
 名称                      年初来 %
  米S&P総合500                 2.64%
  米ダウ平均                   2.79%
  米ナスダック                 6.18%
  欧州ストックス600           -1.75%
  英FTSE 100                  -5.27%
  独DAX                       -3.30%
  TOPIX                       -1.50%
  日経平均株価                -1.65%
    
    バリュエーションでみれば、米株よりも日本株の方が割安だ。トムソン・ロイター・
アイコンが算出する12か月後の予想株価収益率(PER)は28日時点で、米ダウ<.DJ
I>の17.30倍、S&P総合500の17.56倍に対し日経平均は16.64
倍となっている。
    
    しかし欧州株のPERは、FTSE100種で13.80倍、STOXX6
00で14.64倍と、日本株に比べ割安感は強い。来期企業業績への懸念が強
いなかでは、過敏な初期反応が一巡したとしても、相対的なバリュエーションを評価した
買いは期待しにくいかもしれない。
    
    
    *〔円高と業績(上)〕難しい18年度為替設定、110円と105円で悩む国内企業[nL4N1
QH1GY]


 (長田善行 編集:田巻一彦)
  

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