[東京 20日 ロイター] - 日本証券業協会が20日発表した4月公社債店頭売 買高(国債)によると、超長期債に慎重な国内投資家の動きが目立った。生損保の買い越 しペースは減速。都銀や信託銀行は売り越しとなった。海外金利上昇や日銀の政策修正に 対する警戒感が強まったことが背景だとみられている。 都銀はトータルで2兆4544億円の買い越しと前月の2962億円の買い越しから 急増。長期債を2兆6335億円、中期債も1144億円買い越した。一方、超長期債は 2935億円の売り越しと4カ月連続での売り越しとなった。 一方、地方金融機関(地銀、第2地銀、信用金庫)は3業態のトータルで1428億 円の買い越しと、前月の2654億円から減少。1月の2兆4398億円、2月の1兆0 535億円から大きくペースダウンしている。 生損保は超長期債を4257億円買い越した。3月の4624億円より減少した。1 月の8987億円、2月の8530億円に対し、控えめなペースが2カ月続いている。2 021年度平均の5696億円も下回った。 外国人投資家はトータルで3026億円の買い越しと、3月の5613億円の売り越 しから転じた。超長期債を1兆0626億円、中期債を1兆9870億円、それぞれ買い 越した一方、長期債を2兆7470億円と大きく売り越した。 信託銀行はトータルで1兆8778億円の買い越しと都銀に次ぐ大きさとなった。前 月の2兆1782億円に続く大幅な買い越し。超長期債は729億円の売り越しだったが 、長期債を4729億円、中期債を1兆4778億円買い越した。 市場では「海外の金利上昇や、日銀の政策変更を警戒して、4月は国内勢の多くが超 長期債を売り越したが、足元では、その2つの警戒感は後退している。今月は買い戻して いるのではないか」(国内証券)との声が出ている。 4月の円債市場は、海外金利と連動し金利上昇圧力が強まったが、日銀が連続指し値 オペで抑制に動いた。ただ、インフレ懸念を背景とした米連邦準備理事会(FRB)によ る金融引き締め加速への警戒感は強く、海外からの金利上昇圧力が続く中、日本の長期金 利も高止まりした。 ◎国債投資家別売買高(国庫短期証券を除く。億円)は以下の通り。 利付国債買越 超長期債買越 長期債買越 中期債買越 額 額 額 額 都市銀行 24544 ▲ 2935 26335 1144 地方銀行 376 ▲ 1902 2088 190 信託銀行 18778 ▲ 729 4729 14778 農林系金融機関 ▲ 2901 ▲ 531 ▲ 2287 ▲ 83 第二地銀協加盟 40 ▲ 238 358 ▲ 80 行 信用金庫 1012 345 682 ▲ 15 その他金融機関 ▲ 2438 ▲ 964 ▲ 284 ▲ 1190 生保・損保 3761 4257 ▲ 287 ▲ 209 投資信託 2013 74 1301 638 官公庁共済組合 ▲ 242 ▲ 242 0 0 事業法人 45 ▲ 58 103 0 その他法人 401 176 225 0 外国人 3026 10626 ▲ 27470 19870 個人 5 19 ▲ 13 ▲ 1 その他 ▲ 20944 ▲ 15977 13359 ▲ 18326 債券ディーラー 43 ▲ 141 77 107 合 計 27519 ▲ 8220 18916 16823 (伊賀大記)
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」