September 19, 2019 / 10:18 AM / a month ago

ゴーン事件で注目の「司法取引」、企業が応じるか判断難しく=市川弁護士

[東京 19日 ロイター] - 日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)の事件を機に関心を集める日本で昨年導入された、「司法取引」や日本の刑事手続きにおける「人質司法」。第二東京弁護士会とパリ弁護士会共催による国際セミナーが19日に都内で開かれ、こうしたテーマについて両国の司法関係者が活発な議論を交わした。

日本での司法取引について、フランスの参加者から「刑事裁判での有罪率99%以上といわれる日本で司法取引が行われることは、正式な判決の前に検察が判決を下してしまうことになるのではないか」という質問が出た。

これに対し、スピーカーの1人、市川雅士弁護士は「その点はかなり重要なデメリットの一つになり得る。企業にとってもかなり重要な足かせになるのは間違いない」と指摘。企業が司法取引に応じるべきかどうかは「かなり悩ましい」とした上で、仮に応じたとしても「ある程度まだ交渉や法的な評価を争う余地は十分に残されている」との考えを示した。

また、企業側にとって「予測可能性の確保や刑事訴訟制度の運営に関するコスト低減に非常に大きな役割を果たすことは間違いない」とも話し、「バランスの取り方が難しい」と語った。

仏エア・リキード日本法人「日本エア・リキード」の常務執行役員で法務本部長の乾山啓明氏は、企業が司法取引に応じる主な狙いとして、1)無罪を長期にわたって主張することでかかる時間とコストを避ける、2)競争入札に参加できなくなる指名停止や、金融機関からの借り入れができなくなるなど「有罪判決によるデメリットがある」──と説明。選択肢が増える、最悪シナリオを避けるという意味で「利用価値がある」との見解を示した。

一方、人質司法に関して、市川氏は「捜査が終わり起訴状が出される前に保釈をする仕組みがないことは非常に致命的だ」などと語った。また、東京拘置所での勾留が続いていたゴーン被告の弁護側が提案した24時間追跡可能なGPS監視装置の装着を裁判所が拒否したことなどを引き合いに出し、「日本の保釈条件はまだまだ固い」と述べた。

また、日本には、弁護士とのやり取りを記した書類を依頼者から押収してはならないというルール「秘匿特権」がないことについて、公正取引委員会によるカルテル違反に対する行政的な調査に限っては認められるようになり「最近、一部風穴が開いた」と指摘。「まだ抵抗は根強いが、今後、秘匿特権が実現するかもしれない」と期待を寄せた。

ゴーン被告が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)と会社法違反(特別背任)で起訴された事件では、同社幹部2人が東京地検特捜部と司法取引(合意制度)に合意し、起訴を見送ってもらう見返りとして内部資料の提供などで捜査に協力した。刑事処分を減免する司法取引は2018年6月に日本に導入されて以降、2例目の適用とされる。

白木真紀

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