[シドニー 29日 ロイター] - オセアニア外国為替市場の豪ドルとNZドルは下落。新型コロナウイルスの感染再拡大に対する懸念で投資家のリスク選好度が低下している。
米利上げ観測が強まり、米ドルが上昇していることも圧迫要因。
豪ドルは続落し、0.1%安の1豪ドル=0.7557米ドル。一時、今月23日以来の安値となる0.7552米ドルまで値下がりした。
NZドルは0.1%安の0.7032米ドル。
ウエスタンユニオン・ビジネスソリューションズの為替ストラテジスト、スティーブン・ドーリー氏は「米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁が、住宅価格の大幅な値上がりを抑制するため、利上げの見通しを示したため、豪ドルは海外市場で急落した」と述べた。
同総裁は28日の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に掲載されたインタビューで、金融市場の安定を損ねる米住宅市場の「ブームと崩壊のサイクル」は容認できないとの見方を示した。
ドーリー氏は「複数の米連邦準備理事会(FRB)当局者は最近、政策の引き締めについて話をしているが、焦点は資産価格の管理ではなく、インフレの抑制だった。ローゼングレン総裁の発言で新たな分野に話が移り、米ドルが上昇した」と述べた。
ドル指数は91.949と、今月記録した2カ月ぶり高値92.408に迫っている。
オーストラリアや東南アジアでは新型コロナの感染が再拡大。投資家のリスク選好度が低下し、豪ドルとNZドルを圧迫している。
オーストラリアでは、デルタ株に対する懸念を受けて、主要3都市がロックダウン(都市封鎖)を導入。他の地方でも制限措置が導入されており、人口の約80%が影響を受けている。
ニュージーランドは29日、豪州との間で隔離措置なしに相互の往来を認める「トラベルバブル」について、一部再開すると明らかにした。
リスク選好度の低下を受けてNZ国債は上昇。長期債の利回りは約4-5ベーシスポイント(bp)低下した。
豪国債先物も上昇。3年債は2ティック上昇の99.54。10年債は6ティック上昇の98.4650。
一部のエコノミストは、豪中銀が来月6日の理事会でハト派的な見解を繰り返す可能性が高いと予想している。
豪中銀は来月6日の理事会で、3年債利回りの目標設定を2024年4月償還債以降も延長するかどうかや、今後の債券買い入れ計画について発表する方針を示している。
※原文記事など関連情報やアプリは画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」