[東京 6日 ロイター] - 第一三共が3日続伸し2%超高の3380円近辺を推移している。一時、5%高の3444円で高値をつける場面があった。英アストラゼネカと共同開発したがん治療薬「エンハーツ」が、乳がんの標準的な化学療法に比べて半年以上も生存期間を伸ばすとのデータが公表され、好感されている。シカゴで5日開かれた米臨床主要学会(ASCO)で明らかにした。
そのほかの医薬品関連銘柄も連れ高の展開となっており、中外製薬アステラス製薬、武田薬品工業はしっかり。ただ、市場では「好材料ではあるものの、完治ではなく延命を目的とした治療薬のため、投資家からするとやや物足りない」(国内証券)との声が聞かれる。
「エンハーツ」は米国で2019年に乳がん患者の15%を占めるHER2陽性乳がんの3次治療薬として承認された。HER2はがん細胞の増殖に関係するたんぱく質で、HER2ががん細胞の表面に多く存在する乳がんは「HER2陽性乳がん」と呼ばれる。
暫定分析結果によると、エンハーツを投与した患者グループの全生存期間の中央値は23.9カ月と、化学療法グループの17.5カ月を6.4カ月上回った。アストラゼネカのがん治療部門幹部はロイターに、暫定分析結果の段階だとしても驚くほど高い効果だとの見方を示した。
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