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[東京 27日 ロイター] -
<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア投資ストラテジスと 服部隆夫氏>
米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長のジャクソンホールでの講演の基本メッセージは、今後も淡々と金融正常化策を続け、経済に変調があればその時に考えるというものだ。
これはインフレと利上げペースの加速を見込んだ一部の市場参加者を失望させ、米長期金利の低下とドル売りにつながった。
しかし、今後も3カ月に1度のペースで粛々と利上げが実施されるのであれば、基本的にはドルを下支えする材料とみることもできる。ただ、強い上昇シグナルとはなりえないため、金融政策は中長期的にはドル相場にとってほぼニュートラルと言えるだろう。
淡々とした利上げのかく乱要因としては、議長が講演内で2001年と2007年を引き合いに出していることからみて、いわゆる物価ではなく、資産価格の上昇、還元すれば株価を注視していると考えられることだ。
さらに、パウエル議長は、これまでの金融政策の判断材料となってきたインフレと失業率の関係、自然失業率、中立金利といったものが、非常に不透明な要素であることを認めている。これはある意味で、FRBがこうした不確実な要素に制約されず、より柔軟に政策を運営していく余地を示唆している。