[東京 4日 ロイター] -
<りそなホールディングス エコノミスト 村上太志氏>
米連邦公開市場委員会(FOMC)声明は12月もしくはそれ以降の利上げ幅縮小を示唆したものの、今まで出していたドットチャート(政策金利見通し)の内容や市場の織り込みを踏まえても、今後75ベーシスポイント(bp)の利上げを継続するというのはもともと想定しづらい。明確にしたことは意味があるものの、米連邦準備理事会(FRB)がハト派に転じたというわけではない。
その上で、利上げ停止は時期尚早としつつ、現時点でのドットチャートについて従来の想定よりも高くなっている可能性を示したことは意味があるものだった。
FRBは来年の春くらいに利上げペースを減速させ、インフレ鈍化の兆候が見えてきたタイミングで利上げ停止へと向かう可能性が高いとみている。米国以外の主要中銀が先行きについて比較的ハト派姿勢に傾いてるほか、米国のインフレの上昇率も徐々に低下していくことを踏まえると、米長期金利の上昇余地は限定的となりやすい。
市場がターミナルレート(利上げ最終到達点)を5.5%を織り込んだとしても、米長期金利は4%半ばまでの上昇にとどまる。ドルは上振れても150円半ばくらいまでではないか。米FRBが来年利上げを停止しそれに伴い米長期金利が低下に転じ、また日本の経常赤字拡大が一服するとみられることから、ドルは下落方向にトレンド転換する可能性が高いとみている。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」