[東京 11日 ロイター] -
<三菱UFJ銀行 チーフアナリスト 内田稔氏>
米雇用統計の結果では、改善ペースそのものについては勢いがなくなってきていることが確認された。ただ、失業率は4%を下回り、米連邦準備理事会(FRB)は、雇用の改善が続くものとして、今後はインフレ対応に注力するのではないか。そうした中、マーケットでは3月の利上げ開始が意識され、株式市場は動揺している。
ドルは年明けに116円台まで上昇したが、その内訳はドル高というよりも円安圧力のほうが強かった。市場が混乱している足元では、年初の円安に対する反動が加わりやすい。ただ、米金利が上昇しているのでドル安になる可能性は低いため、ドルと円の力は共に強くなりドル/円は動きづらくなりそうだ。
目先のドル/円相場は、115円近辺では押し目買いニーズが強いが、どんどん上値を追っていく展開にはなりにくいと予想する。一方、クロス円では円高への警戒感が高まるとみている。
今後の注目点は、明日公表される米消費者物価指数(CPI)や、パウエルFRB議長を含むFRB高官の発言だ。特に、要人発言でバランスシートの縮小について言及があれば、株価が崩れやすく為替市場への影響も警戒されるだろう。
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