[東京 15日 ロイター] -
<ニッセイ基礎研究所 チーフ株式ストラテジスト 井出 真吾氏>
きのうの米国株式市場では、債券市場で逆イールドが発生したことにより、景気後退への懸念が高まり、主要3指数が大幅安になった。しかし、逆イールドというわかりやすい現象をもとに、アルゴリズムやHFT(高頻度取引)といった機械取引が振幅を大きくしているのが実状だとみられる。警戒心は強まっているものの、実際の景気後退にはほど遠い。
一時急反落した日経平均株価も、現在は戻り歩調だ。依然マイナス圏ではあるが、PBR(株価純資産倍率)1倍の水準となる2万円にいったん近づいたら、押し目買いが入っている。為替もそれほど円高で推移していない。急激な世界情勢の悪化や円高が起きない限り、日経平均の下げは限定的と考えられる。
ただ、マーケットはいま全体的に神経質になっている。しばらくはボラティリティの高い状況が続くだろう。また、あらゆるイベントに敏感に反応しているため、米経済指標、要人発言といった様々な材料に注目すべきだ。
9月の米利下げが確実視されるようになれば、マーケットはやや落ち着くだろう。トランプ大統領による米連邦準備理事会(FRB)への圧力は日々強まっている。マーケットも利下げを期待していることから、FRBの動きが引き続き注目ポイントになりそうだ。