[東京 11日 ロイター] -
<JPモルガン証券 市場調査本部 為替ストラテジスト 中村颯介氏> 上振れサプライズが続いていた米国の消費者物価指数(CPI)が、ついに下振れした。これまで強い経済指標と積極的な金融引き締めを背景にドルに強気な見方を維持してきたが、短期的にはこれらのサポート材料が弱まったと言える。
前日のドル/円は、米国のターミナルレート(政策金利の最終到達水準)予想との相関を大きく超えて下落した。参加者の多くがドルを買い持ちにしていたこと、きょうは米国が祝日のため、手仕舞いを急ぐ参加者が少なくなかったことなどが要因だろう。
今後、さらにインフレ関連指標が弱含むことがあればドル/円はもう一段下落する可能性があり、短期的には140円割れを目指す展開もあり得る。きょうはミシガン大学消費者景況感指数の発表が予定されている。
CPIは予想を下回ったとはいえ、年率7%以上という高水準に変わりはない。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が示唆したように、インフレが高止まりする中、ターミナルレートが切り上がる可能性も依然として残る。だらだらと利上げが続くようであれば、ドルは上昇ペースこそ鈍るが、底堅く反発していく可能性もあるだろう。これまでの相関に基づくと、現在のフェアバリューは145円付近だ。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」