[東京 1日 ロイター] -
<ニッセイ基礎研究所 チーフ株式ストラテジスト 井出真吾氏>
衆院選の結果に対し、市場はひとまずポジティブに反応しそうだ。公明党が議席を伸ばした上、自民党単独でも絶対安定多数を確保し、政権基盤の安定が見えてきた。
ただ、これによって日本が大きく変わるとの期待感が出ているわけではない。自民党は、想定された以上には議席を減らさなかったが、それでも2桁減だ。来年の参院選で過半数を確保できるかは依然、不透明といえる。ねじれ国会の可能性が強まるようなら、市場からのポジティブな評価はあまり続かないかも知れない。
改革路線を打ち出していた日本維新の会が伸びた。立憲民主党が議席を減らすなど、自民党が善戦したのは野党の共闘が受け皿になり切れなかったことが背景にあり、有権者の消去法的な選択とみることが可能だ。
焦点は今後の政権運営に移る。選挙結果を受けて、自民党が危機感を抱いているならいいが、誤った自信につながるようなら、先行きの相場にはネガティブになり得る。
日経平均は、目先2万9000円台での値固めとなりそうだ。ただ、選挙を通過した後は、市場の目線は企業決算に向かう。企業業績の懸念はくすぶり、短期間で3万円を超えて上昇ていくイメージはない。
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