[フランクフルト 12日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に対し、ECBは利上げに時間をかける必要があるとの考えを示した。同総裁はECB理事会内のタカ派として知られているが、発言のトーンに明らかな変化が見られた格好だ。
ユーロ圏の経済成長が急速に減速するなか、一部政策担当者の間ではECBは景気刺激策を引き揚げるペースを緩める必要があるとの見方が台頭。ECBは2019年終盤に利上げに踏み切るとの姿勢をなお公式には示しているものの、クノット総裁も慎重な姿勢を示したことで、ECBが利上げを後ずれさせるのはほぼ確実になったことが示唆された。クノット氏は年内に任期が終了するドラギECB総裁の後任候補の1人に名前が挙がっている。
同氏はFT紙に対し、インフレ率がECBが目標としている2%をやや下回る水準に向けて上昇する兆候がより多く見られるまで、利上げを実施する必要はないとの考えを表明。「われわれは忍耐強くなる必要があるほか、インフレ率がECBの中期目標に向かうと予想される時期について謙虚になる必要がある」と述べた。
その上で「現時点では様子見姿勢をとることがおそらく最善策となる」と語った。
ただ、ユーロ圏のリセッション(景気後退)について言及するのは時期尚早となるとし、「現在のような状況は数四半期継続する可能性があるが、その後は成長率は潜在成長率をやや上回る水準に回復すると、今もなお予想している」と述べた。