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FOMCこうみる:コナンドラムからミステリーへ=三井住友銀 宇野氏
2017年9月21日 / 02:21 / 1ヶ月前

FOMCこうみる:コナンドラムからミステリーへ=三井住友銀 宇野氏

[東京 21日 ロイター] -

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

米連邦準備理事会(FRB)は予定通りバランスシートの正常化に向けて、小さな一歩を踏み出した。資産圧縮計画も利上げもブレることなく続けていく、という気概を見せた。

しかし一方で、景況感がFF金利の引き下げでは十分に対処できないほど「著しく悪化」した場合には「資産買入れの再開」もあり得る、保有債券の再投資を「政策の道具箱に入れておきたい」とイエレン議長は述べている。念のためとは言うものの、揺らぎがみてとれる。

バランスシート正常化の工程表がいかに小さな店じまいに過ぎないかは、削減額の少なさに示されている通りだ。保有債券額を概ね維持しつつ、利上げを続けることで、今後の景気減速時の利下げバッファーを作っておきたいとの意図があるのだろう。

ただ、FRB理事や地区連銀総裁が示した「ドットチャート」では、政策金利見通しの中央値が2019年と長期(longer-run)で引き下げられている。これは、利上げ路線が限界を呈すると自らが認めているようなもので、自信の無さが表れている。

今回のFOMCで最も判断が揺らいでいるのがインフレの見通しだ。

2005年2月にグリーンスパン元FRB議長は、利上げをしているのに上昇しない長期金利を「コナンドラム」と称したが、学究肌のイエレン議長は、インフレ率低迷の背景についての言及を避け、一向に上がらないインフレ率について、ひねりのない「ミステリー」という言葉で表した。

これらの「謎」は、リーマンショック以前から観察されているもので、モノがあふれた世界において、経済成長の余地は限られ、インフレ率も金利水準も上がりにくいという構造変化が謎の背景にあると考えられる。

他方、金融市場は、リーマンショックという金融バブルの破裂を挟んで、性善説から性悪説に変化を遂げた。金融当局としては、量的緩和を放置すれば、その副作用として、市場がバブルを助長するのを促してしまう。このため、金融市場に一定の足かせをはめるべく、様々な矛盾を抱えつつも、金融政策の正常化に踏み出した。     ミステリーを解く鍵が、こうした経済や金融市場の構造変化にあることを、グリーンスパン、イエレン両氏は百も承知だと思われるが、将来の明るい経済像が描けない中、中央銀行は、世界は何も変わってない、大丈夫と言い続けるセラピストのような役割を担うようになったのかもしれない。

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