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バイデン氏が米大統領選に勝利:市場関係者はこうみる

[東京 9日 ロイター] - 接戦となった米大統領選は民主党候補のバイデン前副大統領が当選確実となり、共和党候補トランプ大統領の再選を阻んだ。勝利宣言から一夜明けた8日、バイデン氏は新型コロナウイルス危機への対応や大きく分断された社会の修復など緊急の政策課題への取り組みに動き出している。

一方、共和党のトランプ大統領は依然として敗北を認める姿勢を見せず、法廷闘争を進める構えだ。議会の共和党トップも8日の時点でまだバイデン氏の勝利を認めておらず、バイデン氏が来年1月20日の大統領就任後に共和党との連携で困難に直面する可能性を示唆する格好となった。

バイデン新政権の誕生による市場への影響について識者に聞いた。

●ドル107円台への反発ありうる

<大和証券 チーフ為替ストラテジスト 今泉光雄氏>

米選挙期間を通じた米国の株高やドル安は結局のところ、米国の過剰流動性がもたらしたものだと見ている。当初は民主党政権なら増税で株安との見方が多かったものの、実際にそうはならなかった。カネ余りの下、株式と金利収入が得られる債券は買いたい、というニーズは小さくなかったのだろう。

103円前半まで下落したドルの目先のターゲットは、3月安値の101.18円。業績不振の輸出企業が手元資金確保のために海外資産を一部取り崩したり、コロナ禍で海外企業の買収戦略が見直しを迫られていることに伴う日本発の円買いが、円相場を引き続き押し上げるだろう。

しかし、年末が近づいてきたこともあり、さらにドルを積極的に売り込むのは、投機筋が中心となる公算が大きい。投機の売りは積み上がればその分、将来の買い戻し圧力が強まることになる。ドルは100円割れには至らないだろう。

年内にワクチン開発が成功し、速やかに認可される可能性もある。そうなれば株価は上昇、米金利にも上昇圧力がかかり、ドルを売り込むのは難しくなる。年末に7月高値の107円台まで反発する可能性もあり得るとみている。

●自治体への財政支援、信用力支える

<ティー・ロウ・プライス 債券部門最高投資責任者(CIO) Mark Vaselkiv氏>

米大統領選は民主党候補のバイデン前副大統領が当選確実となり、共和党候補トランプ大統領の再選を阻んだ。一方、トランプ大統領も議会の共和党トップも8日の時点でまだバイデン氏の勝利を認めていない。写真は当確の報を受けて支持者たちの前で快哉を叫ぶバイデン氏(中央)ら。米デラウエア州ウイルミントンで11月8日に撮影。(2020年 ロイター/Jim Bourg)

バイデン氏は、経済が最も脆弱で、かつ歳入急減により必要な公共サービスの縮減を回避するには支援が必要な、財政悪化に苦しむ州やその他の地方自治体に対する追加的な財政支援に取り組むとみられる。

このことは、地域経済が今後コロナ禍の痛手から立ち直るまでの何年間にもわたって、そうした地方自治体が発行する債券(デット)の信用力を安定させ、支えることにつながる。

バイデン氏が掲げる増税については、クレジット(社債)市場よりも株式市場の方により直接的なインパクトがあると考えている。恐らく、巨額の利益を上げている巨大テック企業の株式に最も大きな打撃を与えるだろう。

米企業業績および米国経済は総じて、クリントン、オバマの両政権下においては増税後も拡大を続けており、必ずしも、増税が成長を阻害することにはならないはずだ。

●株式、今後の閣僚人事など控え様子見に

<みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト 三浦豊氏>

バイデン氏が当選確実と伝えられ、米株先物は上昇し、日経平均も年初来高値を更新した。トランプ大統領は法廷闘争を続ける意向を示しているが、マーケットは逆転勝利は難しいと捉えており、バイデン氏へのいわゆる「ご祝儀相場」のような状況だ。

ただ、米国株が9月の高値近辺を超えるような動きになってくると、さすがに「いいとこどり相場」の様相が強まり、今後は見極め姿勢が強まるのではないか。

米国の大統領選という一つの大きなイベントが終わり、今後は米国内の新型コロナウイルスの感染状況や、それに伴う経済の先行きに焦点があたる。バイデン政権は新型コロナの抑え込みが最優先の政策になるが、経済活動の停滞や景気回復が鈍化するなど、警戒感は必要だ。

今週中で戻り相場は終わり、その後はバイデン政権の閣僚人事や上下両院のねじれなど、外部環境をにらみながらもみあい相場になると予測する。

●日本の懸念は円高、ドル安志向の可能性

<シティグループ証券 チーフエコノミスト 村嶋帰一氏>

米国は本質的に変わらないだろう。トランプ氏と共和党が予想以上に善戦しており、一致団結は期待しにくい。民主党的な考えと共和党的な考えが交わることはないだろう。分断の状態が続くのではないか。

米議会も「ねじれ」が続く可能性が大きいとみられている。当面は、経済政策面でも増税や環境インフラ投資などバイデン氏の政策がそのまま通ることはなさそうだ。

対中国の姿勢も大きくは変わらないだろう。覇権争いをしている両国であり、人権や先端技術に関して、態度を軟化させるとは考えにくい。

同盟国にさえ関税争いを仕掛ける政権から、国際協調路線の政権に代わることで、日本との関係はひとまずは良好になることが期待される。ただ、環境インフラ投資などバイデン氏の政策がすぐに通らないとみられることから、経済面での日本への影響は当面大きくないだろう。

もっとも影響が出る可能性があるのは為替だ。政策面で手詰まり感が出た場合、一段とドル安志向になる可能性がある。財務長官が誰になるかが注目される。

ただ、1ドル100円を割る程度では、日銀は副作用が大きいマイナス金利の深掘りに動かないとみている。急激に95円まで進むような円高になった際に、深掘りを検討するのではないか。

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