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アングル:世界の外貨準備、円が20年ぶり高水準 世界的低金利が追い風

[東京 16日 ロイター] - 各国政府が為替介入や外貨不足時のために保有する外貨準備で、日本円の比率が20年ぶり高水準に達した。基軸通貨である米ドルの座が静かに揺らぐ中、コロナ禍で主要国が相次ぎ超低金利政策に踏み切ったことで、もともと金利の低かった円を敬遠する動きが和らいだとみられている。

各国政府が為替介入や外貨不足時のために保有する外貨準備で、日本円の比率が20年ぶり高水準に達した。写真は各国・地域の紙幣、2016年1月撮影(2021年 ロイター/Jason Lee)

<円保有回避の動きに変化>

国際通貨基金(ⅠMF)のデータによると、各国が保有する外貨準備に占める円の比率は昨年10―12月期に6.03%となり、2000年10―12月期以来、20年ぶりの高さとなった。

円の保有比率は14年頃から緩やかな上昇傾向にあった。ただ昨年以降は、新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、主要国が軒並み低金利政策を採用し、世界的に金利低下が進んだことが、円のシェア上昇に追い風となったとの見方が出ている。

日本はコロナ前から低金利政策を一貫して続けてきた。そのため、円は金利収入がほとんど見込めず、外貨準備として積極的に持つことは敬遠されていたが、「コロナ禍で低金利政策が世界で常態化した今、相対的に円の保有を回避する姿勢が和らいだ」と、バンク・オブ・アメリカのチーフFX株式ストラテジスト、山田修輔氏は話す。

多額な日本の対外純資産に注目する声も聞かれる。危機への備えである外貨準備は、一定の資産を有することで通貨価値が急激にき損するリスクが低いこと、いつでも引き出しや換金が可能な流動性の高さを維持していることが最低条件だ。みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミスト・唐鎌大輔氏は「世界最大の対外純資産国の通貨である円は、評価されてしかるべき」だと話す。

<トランプ政権下でドル離れ加速>

米ドルが圧倒的な基軸通貨の座から静かに退きはじめ、各国政府が少しずつ外貨準備採用通貨の多様化を進めていることも、円のシェア上昇の背景だ。

世界の外貨準備に占めるドルはシェアの低下が続いており、昨年末のドルは前期比1.47%ポイント低下の59.02%と、比較可能な1999年以降で最低となった。

ドルの総合的な値動きを示すドル指数は、昨年7%近く下落しており、昨年末にかけてのドル安が評価額の減少に大きく影響しているとの見方が多い。だが、トランプ政権が発足した17年以降のシェア低下が目立つ。

ニッセイ基礎研究所の経済研究部・上席エコノミスト、上野剛志氏は、米国の金融制裁がドル離れに拍車をかけたと指摘。「トランプ政権下ではドルの取引制限が行われたため、金融制裁を警戒する動きが対立国の間で広がった」として、中国やロシア、トルコなどでドル離れが顕著だと分析する。

<人民元のシェア倍増>

外準の通貨分散は世界的に進んでいるが、特に中国の人民元の伸びが高い。IMFのデータでは、昨年末時点で2.25%と、公表が始まった16年の1.08%から約2倍に膨らんだ。多くの国が中国との貿易取引を増加させる中、外為準備での人民元の存在感も高まっている。

新興国は中国による開発援助等で期間の長い債務を抱えるところが多いことに加え、中国は中央銀行デジタル通貨(CBDC・デジタル人民元)への取り組みにも積極的だ。「今後10―20年程度で、人民元が円にキャッチアップしてくる可能性もある」(ニッセイ基礎研究所・上野氏)という。

長年、円と3位争いを繰り広げてきた英ポンドには、EU(欧州連合)離脱の逆風が吹きつける。欧州という後ろ盾を失うことで「ポンドはローカル・カレンシーになり、外準として保有する必要性は低下するのではないか」と、三菱UFJ銀行のチーフアナリスト・内田稔氏は予想する。ポンドの比率が低下すれば、その受け皿として円や人民元が選ばれる可能性は高いという。

ただ、景気回復期待を背景に米長期金利の水準は大きく上昇し、日米金利差は昨年に比べ大きく開いている。円の流動性は世界有数だが、取引高ではシェア2位のユーロに及ばない。外準通貨の分散は今後も続く見通しだが、円が準備通貨として関心を集め続けるのは容易ではない。

浜田寛子、基太村真司 編集:伊賀大記

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