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アングル:打倒トランプ氏の闘い、共和党内で早くも幕開け

[ラスベガス 20日 ロイター] - 2024年米大統領選への出馬が目される共和党有力者が顔をそろえる大規模集会が、週末にラスベガスで初めて開かれた。党員からはトランプ前大統領以外の候補を望む声が多く聞かれ、早くも闘いに向けた緊張がみなぎっていたが、実際に「トランプ離れ」が可能かどうかについては懐疑的な見方も根強い。

 2024年米大統領選への出馬が目される共和党有力者が顔をそろえる大規模集会が、週末にラスベガスで初めて開かれた。写真はペンシルベニア州ラトローブで5日に開催されたトランプ氏の選挙集会で、「アンクル・サム」の格好をした人(2022年 ロイター/Mike Segar)

中間選挙で共和党は下院過半数を奪還したものの民主党との差は予想外に小さく、上院では過半数を奪えなかった。このため党員は、トランプ氏を共和党の顔に据えることについての懸念を大っぴらに口にし始めている。

共和党の有力団体、共和党ユダヤ人連盟(RJC)が開いた集会で、同党の献金集めに携わる弁護士のエリック・レビン氏は「トランプ氏が共和党の顔になると、わが党は常に数(パーセント)ポイント損をするだろう」と言ってはばからない。

集会には献金者や献金集め担当者らが集まり、フロリダ州のデサンティス知事、ペンス前副大統領、ヘイリー前国連大使など24年大統領選への出馬が予想される面々を品定めした。

レビン氏は会場でロイターに対し、中間選挙によってトランプ氏が有権者の過半数にひどく不人気であることが証明されたと指摘。「トランプ氏は(24年に)負けるであろう唯一の共和党員だ」と言い切った。

この1週間の出来事をみると、トランプ氏が今後数カ月間スポットライトを浴び続けるのは間違いなさそうだ。

トランプ氏は15日に出馬を宣言。18日にはガーランド米司法長官が、昨年1月の議会襲撃と機密文書持ち出しに関してトランプ氏を捜査する特別検察官を任命した。

そして19日には実業家イーロン・マスク氏が、買収したツイッターにトランプ氏のアカウントを復活させると表明した。

RJCの集会でも、多くの群衆は明らかにトランプ氏に熱狂していた。大統領選出馬が予想される有力者のうち、会場を訪れずビデオ演説で済ませたのはトランプ氏だけだったにもかかわらず、ホテルのボールルームを埋め尽くした人々から何度かスタンディングオベーションが湧き起こった。

トランプ氏は「はっきり言うが、ある特定の人物が2024年の選挙に勝つと期待してよい」と述べ、拍手喝采を浴びた。

トランプ氏にとって最も手ごわい対抗馬になると目されるデサンティス氏は「われわれには成すべきことがまだたくさんある。私の闘いは始まったばかりだ」と述べ、今後の具体的な計画は示さなかった。

デサンティス氏はトランプ氏には言及しなかった。ペンス氏も前政権の功績を自賛し、過去の上司であるトランプ氏への直接的な批判は控えた。

<恐れるのはやめよう>

トランプ氏を率直にけなす党員もいた。クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事は「小声で話すのはもうやめよう。ある1人の人を怖がるのはもうやめよう」と話し、2020年大統領選で大規模な不正があったとするトランプ氏の虚偽の主張によって、共和党は「衰えてしまった」と断言した。

大統領候補に名の挙がるメリーランド州のラリー・ホーガン知事は、「軌道修正」の必要性に言及。トランプ政権下で国務相を務めたポンペオ氏は「パーソナリティーやセレブには無理だ」と語り、かつてテレビ番組の著名司会者だったトランプ氏を揶揄(やゆ)した。

ヘイリー前国連大使は、新しい世代の指導者を選ぶべきだと切々と訴え、自身が真剣に出馬を検討していることを明かした。

<戴冠式にはならず>

RJCの執行ディレクター、マシュー・ブルックス氏は、大統領選出馬が予想される人々からトランプ氏が既に批判を浴びていることについて、「早くも選挙戦が始まったことの表れだ」と語った。

かつてジョージ・W・ブッシュ元大統領の報道官を務めたRJCの理事、アリ・フライシャー氏は、共和党予備選がトランプ氏の「戴冠式」になるとは予想していない。「もしかすると彼が冠を勝ち取るかもしれない。あるいは、だれか新しい人物が出てくるかも知れない。予備選が始まるのを待とう」と話した。

トランプ氏は共和党の大統領候補に指名されないだろう、と公言する集会参加者もいた。ニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ知事は「彼は今までで最も力が弱まっており、これから良くなることはないだろう」と明言した。

フロリダ州南部に住むベンチャーキャピタリストのデービッド・ブランバーグ氏は、トランプ氏以外の候補を立てれば無党派層のほか、共和党員だが党に失望して中間選挙で民主党に流れた有権者を取り戻せる可能性があるとみる。

「私は(トランプ氏と)政策が同じ大統領が望みだ。ただ、選挙戦でもう少し自制心が働き、無用な闘いを引き起こさない人物がいい」とブランバーグ氏は語った。

ただ前出のフライシャー氏は、共和党エリートはこれまでトランプ氏を抑え込むことに失敗してきたと指摘。富裕層の集まるRJCの集会などには「死んでも出たがらないようなブルーカラー労働者」の間では、トランプ氏人気は健在だとし、「それがトランプ氏の強さの根源だ」と話した。

(James Oliphant記者、 Nathan Layne記者)

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