[東京 5日 ロイター] -
<野村証券 エクイティマーケットストラテジスト 澤田麻希氏>
日経平均は2週間ぶりに3万円の大台を回復してきたが、前週末に発表された米雇用統計が予想を上回り、7か月ぶり(大幅増加)の水準に達する結果となったことが好感されたようだ。ワクチン接種の広がりから労働市場の急速な改善を示すものであり、景気が上向いていることを再認識させている。米長期金利は若干上昇したものの、直近の高水準には届いておらず、これも心理的に好影響を与えて、日経平均に寄与度が大きい値がさ株物色につながった。
一方、足元のマイナス材料としては、新型コロナウイルス感染者数が再び拡大し、欧州のロックダウン、国内では「まん延防止等重点措置」適用など、経済正常化の遅れが懸念されている。さらに半導体の供給不足をはじめ、生産能力の低下も懸念材料だ。しかし、これらが単なる遅延にとどまり、長い目でみたワクチン集団接種による経済回復シナリオを崩すものでなければ、大きな警戒材料にはならない。実際、これらによって株価が軟化することはなかった。
経済回復シナリオを手掛かり材料として、日経平均は3万円を固める展開になるのではないか。
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