[香港 4日 ロイター] - 上海外国為替市場の人民元相場は下落し、10月下旬以来の安値をつけている。トランプ米大統領が3日、中国との通商交渉合意に期限はなく、来年11月の大統領選挙後まで待った方がよいかもしれないと述べたことから、合意への期待が後退した。
ロス商務長官もCNBCテレビのインタビューで、1560億ドル分の中国製品への追加関税発動期限が15日に迫っていることについて、協議が著しく進展するなど実質的な理由がない限り、追加関税は予定通り発動されると語った。
米中通商協議をめぐる先行き不透明感が再び高まったことを受け、オフショア人民元は3日に0.6%下げて10月18日以来の安値をつけた。4日中盤の時点では0.1%安の1ドル=7.0721元。
国内スポット市場の人民元は10月25日以来の安値で寄り付いた後、中盤時点で0.1%強下げて7.0691元。
シティのアナリストはノートで「もし12月15日に関税が発動されれば、ドル/人民元はすぐに追加関税を織り込んで7.30元に向かう可能性がある」と指摘。「一方、関税が撤回されるかもしれないとの見方が強まれば、ドル/人民元は6.90元に向けて急速に下げていく可能性がある」との見通しを示した。
長引く米国との貿易戦争は中国経済を直撃している。ロイターの分析によると、7─9月期の中国企業による設備投資の伸びは3年ぶりの低い伸びとなっている。
中国人民銀行(中央銀行)はこの日の基準値(中間値)を1ドル=7.0382元に設定。前日基準値(7.0223元)比で0.23%の元安水準。