July 3, 2018 / 6:30 AM / 3 months ago

〔アングル〕政府、7月にもシェアリングのGDP効果公表 上乗せ0.1%程度か

[東京 3日 ロイター] - 民泊やライドシェアなどシェアリングエコノミーの市場拡大を踏まえ、政府は国内総生産(GDP)への押し上げ効果を7月にも公表する。関係筋が明らかにした。ただ、新たな付加価値を生み出す効果は少なく、約500兆円のGDPへの上乗せ効果は0.1%前後と限定的なものとなりそうだ。

 シェアリングによる新たなビジネスは、デジタル化やデータ集積によるマッチング機能の発展により、急速に拡大している。民泊やライドシェア、スキルの提供、自動車や洋服などモノのシェアなど、これまで眠っていた個人・企業の資産が活用されることで、対価を得るシステムが構築されつつある。

ところが、これまで「市場化」されてこなかったため市場規模の把握が難しく、そのほとんどは経済統計に取り込まれていない。

この状況を変えようと、政府はこの1年間にシェアリングの形態として、1)民泊など空間のシェア、2)ライドシェアのような移動のシェア、3)モノのシェア、4)スキルのシェア、5)お金のシェア──の5分類について、統計上の定義や分類、付加価値などを研究してきた。

政府関係者によると、シェアリング経済の経済的価値を統計に取り込む考え方や手法は、国際的に統一基準が存在しない。

シェアリングエコノミーが日本よりも活発な英国や米国でも、統計当局がデータに取り込む手法について研究を進めている段階。日本政府は、7月にも公表する今回の経済効果の試算結果を踏まえ、国際的な議論をリードしたい考えだ。

具体的な市場規模や経済効果をみると、最も市場規模が大きい民泊の場合、仲介業者のデータをもとに市場規模の捕捉が可能になる。

情報通信総合研究所によると、 民泊を含む「スペース」のシェア市場は6783億円で、移動(車のシェアなど)やモノのシェア市場よりもはるかに大きい。将来的には1.3兆円規模まで拡大するとみられている。

だが、政府関係者によるとGDPへの影響は、持ち家を貸した場合なら「帰属家賃」という形で賃貸料に当たる付加価値がすでにGDPに計上されているため、上乗せ効果はさほど大きくないとみている。

もし「帰属家賃」を上回る宿泊代を得ている場合は、追加的な付加価値としてカウント可能であるが「その把握は難しい」(政府関係者)という。

マッチングを活用した洋服のシェアやスキルの提供や、会社員が平日車庫に駐車している自家用車の貸し出しなどで収入を得ても、「家計間での対価の移動として定義できるため、大方は新たな付加価値に当たらない」」(政府関係者)と推計している。

足元では、メルカリが提供するシステムを活用し、簡単に不要なものを売却し欲しいものを購入することができる。

だが、この「流通」も「家計間の移動に過ぎない」(政府関係者)ため、GDPに計上されるのは、メルカリに入る手数料だけだ。

民間調査機関によると、日本国内のシェアリング市場の規模は2016年で1.1兆円だが、プライス・ウォーターハウスによれば、欧州の市場規模は16年時点で270億ユーロ(およそ3.5兆円)。世界全体では2025年に3350億ドル(36兆円超)程度の市場になっているという。

情報通信総合研究所は、2016年の日本の市場規模を1.1兆円、将来を見据えた潜在市場規模は2.6兆円に拡大すると試算している。

今回の政府の試算では、シェアリングエコノミーのGDP押し上げ効果は、0.1%─0.2%程度という結果になりそうだが、見えにくい個人間取引の把握が進めば、付加価値創造にあたるビジネスも生まれ、GDPが予想を超えて押し上げられる可能性もある。

中川泉 編集:田巻一彦  

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