December 22, 2011 / 4:22 AM / 7 years ago

焦点:オリンパス争奪戦、ソニー・富士・パナソニックの三つ巴

[東京 22日 ロイター] 不正会計問題で揺れるオリンパス(7733.T)の増資引き受けをめぐる戦いが熱を帯び始めた。

 12月22日、不正会計問題で揺れるオリンパスの増資引き受けをめぐる戦いが熱を帯び始めた。写真は決算発表後の記者会見で頭を下げる同社の高山修一社長。今月15日撮影(2011年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

オリンパスは14日の決算修正で財務基盤が大きくき損していることが明らかになり、資本増強策が経営の優先課題として浮上。同社はSMBC日興証券などを財務アドバイザーに選定し、他社との資本・業務提携も視野に入れた具体的な検討に入った。

圧倒的な競争力と市場シェアを持つ同社の内視鏡事業には、国内外の企業が関心を寄せているが、医療産業ビジネスに本格参入を目指すソニー(6758.T)やパナソニック(6752.T)、富士フイルムホールディングス(4901.T)の三つ巴の争いになるとの見方が出ている。一方で、増資が本当に必要なのか疑問視する声もある。

<取引銀行系列の3社を財務アドバイザーに選定>

オリンパスが財務アドバイザーに選んだのは、主力取引銀行の三井住友銀行(8316.T)傘下のSMBC日興証券と、同銀に近いシティグループ証券、さらに準主力銀行の三菱東京UFJ銀行(8306.T)傘下の三菱UFJモルガン・スタンレー証券の3社となり、取引銀行色が濃い顔ぶれとなった。関係者によると、3社は増資の規模や手段、タイミングなどについて財務分析の作業に入った。

オリンパスは、過去の損失隠しの処理などで財務状態が悪化。9月末の純資産は、訂正前の同3月末より1200億円減少の459億円となり、自己資本比率は11%から4.5%まで低下している。高山修一社長はこれまでの会見で、財務基盤の強化について「大きな課題」との認識を示しており、第三者割当増資による他社との資本提携も含め、検討を進める意向を示している。

<ソニー、富士フイルム、パナソニックが有力候補との見方も>

オリンパス争奪戦の前哨戦――。業界関係者に、こう目されている案件が、富士フイルムが今月15日に発表した米医療機器メーカー、ソノサイトの買収だ。価格は776億円。ソノサイトは超音波診断装置の設計技術などで高い技術力があるとされていた。

公表されていないものの、複数の関係者によると、ソノサイト買収には、富士フイルムのほかにソニーやパナソニック、テルモ(4543.T)なども参戦しており、今回のオリンパス争奪戦で名前が挙がっている企業がそろい踏みとなった。「超音波診断装置と内視鏡事業は違うが、医療機器分野への注目度を表す試金石になった」と、業界関係者は指摘する。収益性の高い医療機器産業に対する日本メーカーの注目度合いを表す案件になった。

オリンパスとの間で資本・業務提携が実現すれば、絶対的な競争力を誇る同社の内視鏡事業を手中にできる可能性が高まる。国内外の有力企業が関心を示すのはこのためだ。とりわけ注目されているのが、医療事業の強化を目指すソニーやパナソニック、同じく内視鏡事業を手掛けている富士フイルム。ある投資銀行幹部は「この3社が現実的な候補ではないか」と語る。

最も派手な動きを見せているのがソニーだ。11月には同社幹部が、米系投資銀行の案内でオリンパスの主要取引銀行の首脳を訪問。オリンパスに対する支援の意向を伝えるとともに銀行からの協力を求めた、と複数の関係者は指摘する。

ソニーは主力のテレビの不振や円高などが響き、2012年3月期は4年連続の最終赤字となる見通しだ。一方で、新たな成長の柱を求めて医療機器関連会社の買収も積極化している。これまでは医療用のプリンターや記録媒体、モニターなどにとどまっていたが、得意のセンサー技術や画像技術などを武器に「技術面で、オリンパスの内視鏡事業との相乗効果を出せる」(外資系投資銀行)というわけだ。

ソニーとライバル関係にあるパナソニックも、ヘルスケア事業部門を中心にオリンパスの事業との相乗効果を検討している。現在は、医療機関向けに超音波診断装置などを展開している。「医療機関向けビジネスは特殊な世界。内視鏡事業も同じ医療機関向けのため、両社の親和性は高い」(業界関係者)との指摘もある。

パナソニックとオリンパスは、もともとカメラ事業での関係も深い。光学分野のノウハウを持たないパナソニックは、同社製デジタルカメラの光学部品の企画をオリンパスに発注。08年8月には両社で、デジタル一眼カメラ「ミラーレス」機の交換レンズ仕様を共同策定した。「オリンパスを他社に取られると、パナソニックの光学系ビジネス、特にデジカメ事業はとん挫しかねない」(関係者)との危機感もある。

消化器検査用の軟性内視鏡市場で15%のシェアを持つ富士フイルムは、患者の負担が軽い鼻から挿入する経鼻内視鏡や小腸の観察・処置を簡単にしたダブル・バルーン内視鏡などで存在感がある。曲がりやすい大腸内視鏡も開発するなどして追う格好だが、7割のシェアを誇るオリンパスには到底及ばない。独占禁止法に抵触する恐れがあるものの、オリンパスと手を組めば、鬼に金棒だ。

当のオリンパスにとっては「ソニーが最も相手として魅力的なのではないか」(取引銀行幹部)との見方が出ている。内視鏡分野では、高密度・高精細な画像処理が今後の競争力の鍵となるという。この点で、画像処理を担うCMOSイメージセンサーは「ソニーが他社よりも頭一つか二つは抜けた性能」(業界関係者)と評価が高く、技術的なシナジー効果が「最も高い」(同)とみられているためだ。

<そもそも増資は必要か>

だが、オリンパスについて「そもそも増資による財務基盤の強化が本当に必要なのか」(証券会社幹部)との指摘もある。財務基盤が大きく劣化したのは確かだが、コアビジネスの内視鏡事業が堅調に推移すれば、利益剰余金の積み上げでいずれ財務の健全性は回復できる。なぜその道を取らないのか―─というわけだ。実際、オリンパスの大株主、米サウスイースタン・アセットマネジメントは19日、オリンパスの現経営陣が検討している資本増強に反対意見を表明した。

今回、オリンパスが選定した財務アドバイザーはいずれも主力、準主力銀行との関係が密接だ。「オリンパスは有利子負債が多く、過剰債務気味。銀行の債権保全のために系列証券会社を送り込んで増資を検討しているのではないか」(同)との懸念も浮上している。「増資をする以上、株主価値を上げるエクイティ・ストーリーが必要だが、それが出せるのかどうか」と、この証券会社幹部は疑問を投げかけている。

(ロイターニュース 布施太郎 白木真紀 編集:北松克朗)

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