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ソニーが全世界で1万人削減へ、テレビ事業は他社と提携も

[東京 12日 ロイター] ソニー6758.Tの平井一夫社長は12日の経営方針説明会で、2014年度に売上高8兆5000億円、営業利益率5%以上を目指すと発表した。このうち、立て直しを図るエレクトロニクス事業は売上高6兆円、営業利益率5%を目標に掲げた。

4月12日、ソニーは2014年度に売上高8兆5000億円、営業利益率5%以上を目指すとした経営方針を発表した(2012年 ロイター/Yuriko Nakao)

また12年度にグループ全体で従業員1万人を削減する。課題のテレビ事業については、赤字の続く液晶テレビだけでなく、次世代商品と位置付ける有機ELテレビにおいても「他社との提携」を検討する考えを示した。

記者会見で平井社長は、11年度の最終赤字が過去最悪の5200億円に陥る見通しとなったことを陳謝した上で「必ずやソニーを変革し、再生させると改めて決意している」と強調。さらに、ソニーの事業について、映画・音楽事業と金融は「すでに安定した事業基盤を有する」との認識を示したが「エレクトロニクス事業を立て直し、再生から成長へと転換する。これが私に与えられた最大の責務だ」と語った。

<コア事業は3分野、テレビ再生は喫緊>

エレクトロニクス事業の立て直しとして平井社長は、「集中領域を明確にしてその領域で勝ちぬく」と言明。その上で、カメラや画像センサーなど「デジタルイメージング」、プレイステーションなど「ゲーム」、スマートフォンなど「モバイル」の3分野をコア事業と位置付けた。14年度にはコア事業の3分野で、エレクトロニクス事業全体の売上高の約70%、営業利益約85%の創出を目指す。

分野別の14年度の目標は、デジタルイメージングで売上高1兆5000億円と2桁の営業利益率、ゲームで売上高1兆円と営業利益率8%、モバイルで売上高1兆8000億円と「収益性の大幅な改善」をそれぞれ見込む。

一方で「テレビ事業の再生は喫緊の課題」として13年度の黒字化目標を維持した。前期に韓国サムスン電子との液晶パネル合弁を解消。今後、固定費を11年度比約60%、オペレーションコスト約30%を削減する。12年度はモデル数を約40%減らす。12年度の販売計画は「2000万台よりは上がっていく」(平井社長)と見込む。

テレビにおいて、収益改善とともに重視している商品力強化については「他社との協業を含めた有機ELやソニー独自開発のクリスタルLEDディスプレイなど次世代ディスプレイの開発および商品化も進めていく」と述べた。さらに、携帯商品との連携やネットワークサービスの活用も強化することで「ソニーのテレビの魅力をさらに高めていく」とした。

<医療事業で将来は売上1000億円に>

新規事業領域の医療関連(メディカル)事業では、すでに参入済みの医療用プリンターやモニターなど周辺機器事業で2014年度に売上高500億円を目指す。さらにレンズや画像処理技術を活用した内視鏡など医療機器事業のほか、細胞分析機器「アイサイト」や検査診断機器「マイクロニクス」の2件の買収で立ち上げたライフサイエンス事業も拡大していく。平井社長は「これ以外にもメディカル事業の展開に必要で、ソニーの強みと合致する分野のM&Aも積極的に行っていく」と述べ、メディカル事業で将来的に1000億円の売上高を目指す方針を示した。

<ポートフォリオ見直しで人員削減へ>

一方で「高収益体質の会社になるため事業の選択と集中を加速する」(平井社長)。コア事業の3分野と医療事業以外の事業領域は「事業性を判断し、提携・譲渡の可能性を検討し、ポートフォリオの組み替えを実施していく」と述べた。すでに中小型液晶事業は4月1日付でジャパンディスプレイとして切り出したほか、今年10―12月中に化学事業を日本政策投資銀行に売却する計画。このほか、電池事業では電気自動車向けや蓄電用途において、他社との提携も検討する。

こうしたポートフォリオ見直しや構造改革によって、12年度にグループ全体で従業員1万人を削減する。1万人には中小型液晶事業の2000人は含まれておらず、化学事業の3000人を含む。12年度は構造改革費用は750億円を計上する。10日に発表の12年度の営業利益計画1800億円に同費用は含まれているという。

平井社長は、液晶テレビ事業における日本の他メーカーとの提携について「さまざまな可能性は検討しているが、これは相手もある話だし、現時点でお話しできることはない。さまざまな可能性を検討している」と述べた。

<市場関係者の評価厳しく>

ソニーの経営方針について市場関係者からは厳しい指摘が多かった。ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表は「成長ストーリーが見えてこない。数値目標を出すのはいいのだが、どうやって達成していくのかが分からない。縮小均衡と感じる。問題はプラスサイドの数字の具体性に欠けていることだ」とみていた。

またコモンズ投信の伊井哲郎代表も「まだ選択と集中というところが分からない。大胆な改革をしているという感じでもない。エレクトロニクス事業の再生の道のりもよく見えないし、新たな価値創造とういうのもなかなか見えてこない」と指摘。

さらに、SBI証券の投資調査部長の鈴木英之氏は「固定費や人員の削減で利益が回復したとしても、市場の評価は限定的になりそうだ。ソニーの根本的な問題は競争力の低下にある。ソニーらしさをどこまで取り戻せるか平井社長のお手並み拝見だ」と述べていた。

(ロイターニュース 村井令二 白木真紀 取材協力:金融マーケットチーム 編集 橋本浩)

*内容を追加します。

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