[ワシントン 10日 ロイター] スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債格付けの引き下げとその後の世界市場の混乱を受け、米国で格付け会社の調査と改革強化を求める声が強まっている。
民主党のウォーターズ下院議員は10日、S&Pによる格下げがもつ意味合いについて、下院金融委員会で公聴会を開催するよう求めた。
証券取引委員会(SEC)に対しては、S&Pが米国債格下げに関する情報を公表前に一部の金融機関に提供したのか、書簡で調査を要請している。
同議員は、銀行幹部が格下げ前の8月4日と5日にS&Pと会っていたとの報道について懸念を表明。5日の格下げ発表前に取引が膨らみ、大量の売りが出されたことに注目している。
S&Pはコメントを拒否した。
上院銀行委員会も、S&Pによる米国債格下げについて調査を開始した。
格付け会社は、リスクが大きな証券に水増しした高い格付けを与え、2007─2009年の金融危機を拡大させたとして批判されてきた。
これを受け、昨年成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)では、規制当局に対して、保有資産のリスクを考慮した銀行の資本基準の決定で格付け会社への依存をやめることなど、規制強化を定めている。
ただカリフォルニア大学のジョン・ハント教授によると、規制当局者はこれらに抵抗しており、詰めの作業はすでに期限が過ぎている。
上院常設調査小委員会のレビン委員長は、正確な格付けの確保と投資家の信頼回復のために重要だとして、SECに規則の強化を促している。