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焦点:欧州で進む核廃棄物埋蔵計画、「10万年先の安全」に挑む

[ユーラヨキ(フィンランド)/ビュール(フランス) 13日 ロイター] 東日本大震災で福島第1原発事故に見舞われた日本では、原発再稼働をめぐる議論が熱を帯びているが、北欧フィンランドでは、放射性廃棄物を地中深くに埋蔵する世界で初めての施設の建設が進められている。

6月13日、日本では原発再稼働をめぐる議論が熱を帯びているが、欧州の一部では、放射性廃棄物を地中深くに埋蔵する計画が進められている。写真はフランス東部のビュールにある施設で掘削を行う放射性廃棄物管理機構アンドラの作業員(2012年 ロイター/Vincent Kessler)

建設地は、首都ヘルシンキから約230キロ離れた同国南西部。施設は「オンカロ」と名付けられ、操業開始後100年間にわたって廃棄物を受け入れ、安全確保のため少なくとも10万年保管するように設計されている。同様のプロジェクトがフランスのビュールでも進行中だ。

核廃棄物の処分をめぐっては過去30年間、太陽に向けてロケットで送り込む方法や、北極圏での埋蔵、海底保管など、さまざまな方法が研究されてきた。

オンカロの地層処理について、米国のエネルギー環境研究所(IEER)のArjun Makhijani所長は「適切に選択・設計された核廃棄物の地層処理施設の活用は、最も悪くない考え方だ」と評価。英国地質研究所(BGS)の専門家、リチャード・ショー氏も「深い位置での地層処理は、安全な廃棄物処理に向け前進したことを意味する」と評した。

<想定外のリスクを伴う恐れ>

しかし、長期的に見れば、地層処理も想定が難しいリスクを抱える。

国際原子力機関(IAEA)は、世界の使用済み核燃料が2010年には合計で約34万5000トンとなり、10年前に比べ50%増加したと推定。IAEAは「放射性物質は数千年間にわたって危険な状態が続くため、この期間中は組織的な管理が必要になる」と報告書で指摘している。

フィンランドの環境保護団体は、オンカロが今後数世紀の間、どこまで安全を保てるかは定かではないと主張。気候変動や地震で廃棄物が漏れ、汚染水が流れ出す恐れもあると懸念を示す。

これに対し、建設を担当するポシバ社のサンデル社長は、事故が起きた場合でも地上への影響は最小限に抑えられると説明。「万が一、使用済み燃料棒を覆うカプセルが破損した場合でも、地上に放出される放射線量は国際基準値の0.1ミリシーベルトを超えることはない」と述べた。

オンカロの建設作業は、地下約400メートルの地点の施設につながるトンネルの掘削がほぼ完了し、2020年には廃棄物の受け入れを開始する予定。現在フィンランドには原子炉が4基あり、同年あたりまでには7基に増やす方針を示しているが、オンカロは自国の原子炉から出る廃棄物のみを処理する。

フィンランド国民の原子力政策に対する姿勢は、支持あるいは中立的な立場がほとんど。アナリストらは、同国議会が核廃棄物の輸出入を禁止してきたことや、実用主義、伝統的な合意政治が、原子力政策を推進させていると分析する。

<反発弱まるフランスの地元>

一方、フランスでは東部の風光明媚なビュールが同様の施設建設地に選ばれたが、建設はまだ始まっていない。計画では17年に着工、25年の貯蔵開始が予定されている。

同国のオランド新大統領は25年までに原発依存度を減らすことを約束。ただ、フランスの電力需要の75%が19カ所の原発でまかなわれていることから、地層処理計画が進行中の5年の任期内に状況が一変すると予想するアナリストはほとんどいない。

フランスの放射性廃棄物管理機構アンドラの国際部門担当者、ジェラルド・ウズニアン氏も「使用済み燃料は現に存在している。たとえ何があろうと、これは管理されなければならない」と強調する。

アンドラは、総工費350億ユーロ(約3兆5000億円)のこの巨大プロジェクトが成功すれば、他国にとってのモデルとなり、ビジネスチャンスも生まれるはずだと期待を寄せている。

ウズニアン氏は「フランスのモデルは、米国や中国、ロシアなどの大国だけではなく、小国も含めた世界中の国にとって参考になる」との見解を示し、リトアニアやスロベニア、ウクライナと結んだ契約にも言及。「われわれは、そのノウハウをさまざまな国で売っている」と明かした。

フィンランドに比べると近隣住民の反発は大きいが、その勢いは弱まりつつある。要因としては、住民の反発姿勢に疲労の色が濃くなってきたことに加え、政府が多額の補助金を出していることや、アンドラが周辺地域の土地約1000ヘクタールを買収したことが挙げられる。

地元農家の男性は、土地をアンドラに180万ユーロで売却し、さらにその2倍の金銭提供を受けたと打ち明けた上で、「ごみの施設が完成すれば、ビュールは地図から消えるだろう」と話した。(原文執筆:Terhi Kinnunen、Muriel Boselli記者、翻訳:野村宏之、編集:宮井伸明)

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