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焦点:海外からの投資求める中国、外交悪化は障壁にあらず

[北京 23日 ロイター] -中国の金融機関に対して今月行われた2つの海外からの投資は、同国が外交上もしくは貿易上の関係が悪化した国からも投資を断らない可能性を示唆するものだ。

12月23日、中国の金融機関に対して今月行われた2つの海外からの投資は、同国が外交上もしくは貿易上の関係が悪化した国からも投資を断らない可能性を示唆するものだ。写真は上海で11月撮影(2013年 ロイター/Carlos Barria)

スペインの銀行最大手サンタンデールSAN.MCは10日、上海銀行IP-SHB.SSの株式8%を英HSBCから取得することを明らかにした。その2日後には、ノルウェーの政府系ファンドが、中国信達資産管理(チャイナ・シンダ・アセット・マネジメント)の新規株式公開(IPO)で、計11億ドルを投入する「コーナーストーン投資家」(戦略的投資家)に名を連ねた。

スペインもノルウェーも、貿易や投資とは直接関係ない分野で中国政府の怒りを買ったことがある。

世界第2位の経済大国となった中国は、外交的に対立する国に暗黙の貿易制裁を加えることがある。ただ、中国はその過程で自国経済が痛手を負わないよう注意を払っており、そうした国からの投資には通常影響は及ばない。

香港城市大学の政治学者、ジョセフ・チェン氏は「中国が他の国よりも政治的なタブーを多く持っていることは明らかだ。だから、対象を明らかにせず経済制裁を行うことが多々ある」と指摘した。

2012年に南シナ海の領有問題でフィリピンとの緊張が高まった時、中国は厳しい検疫を課すことで、フィリピンからのバナナの輸入を一時中断した。

2010年に尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖で日本の巡視船と中国漁船との衝突事件が発生した後には、日本企業は中国がレアアース(希土類)輸出を停止したと不満を訴えたが、中国政府はこれを否定した。

2つのケースではそれぞれ、中国は害虫被害と不法採掘による環境被害というもっともらしい懸念を表明していた。

尖閣諸島をめぐる緊張が続く中、日本との貿易は2011年以降減少しているものの、日本からの直接投資は増え続けている。

<ダライ・ラマ効果>

中国による通達なしの制裁を「経済的いじめ」と呼ぶアナリストもいる。

2010年にドイツのゲッティンゲン大学の研究者2人が行った調査によると、チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世と会談した国家元首や政府を持つ国は、その後2年間で中国向け輸出が8─17%減少する。これは「ダライ・ラマ効果」と呼ばれる。

2008年には、当時フランス大統領だったサルコジ氏がダライ・ラマ14世との会談を決めると、中国はエアバスとの航空機購入契約を延期。2国間関係は2010年になってようやく改善した。

中国はまた、イタリアとドイツに対し、指導者らがダライ・ラマ14世と会談するなら、経済的措置を取ると警告した。

しかし、必ずしも中国が制裁を実行するとは限らない。中国は2010年、台湾への総額64億ドルの武器売却案に関わっていたボーイングBA.Nを含む米国の航空・防衛企業に対し、制裁を課すと警告していたが、実際には行動に移さなかった。

最近では、10月にスペインの裁判所が、胡錦濤前国家主席がチベットでの大量虐殺に関与したとする訴えを受理。中国政府が内政干渉だとして非難した。また同裁判所はその翌月、江沢民元国家主席ら5人の元首脳に対し、同じく大量虐殺に関与した容疑で逮捕状を出す決定をした。中国はこれを不条理と一蹴し、スペインの駐中国大使を呼び、懸念を表明した。

この件をめぐり、中国から何らかの経済制裁を受けたというスペイン当局からの発表はない。

サンタンデールによる株式取得には、中国銀行監督管理委員会の正式な承認が必要だが、公表されたからには、何らかのかたちで暗黙に承認された可能性があると、アナリストらはみている。

国内銀行の現状を考えると、中国は投資家に背を向けられないのかもしれない。アナリストらによると、経済成長が減速し、融資の焦げ付きも見られる中、国内銀行は予想される不良債権の増大を吸収するため、民間資本の参加拡大を求めている。

<ノルウェーとの関係>

一方、中国とノルウェーの外交関係は2010年、ノーベル賞委員会が中国の民主活動家で服役中の劉暁波氏に平和賞を授与したのを機に悪化した。

同氏のノーベル平和賞受賞を受け、中国はノルウェーの閣僚との会談を相次ぎキャンセルし、ノルウェーの要人たちにビザ(査証)を与えなかった。

ノルウェー産サーモンの中国向け輸出は2011年の第1・四半期に前年同期比で52%減少し、今年も2010年の水準を20%下回っているが、全体的な貿易は増加している。

ノルウェーと中国の外交関係は改善の兆しもある。ノルウェーのブレンデ外相は、まだ野党議員だった今年8月、中国の李克強首相と会談。ブレンデ氏は外相に就任した10月、地元紙に対し「中国とノルウェーの関係が正常化することは極めて重要」だと語った。

ただ、ダライ・ラマ14世が来年5月にノルウェーを非公式訪問する計画が、2国間にとって新たな障害となる可能性もある。

どちらにせよ、中国は今後、ノルウェーからの投資をさらに期待している。

中国信達資産管理への投資のほかに、ノルウェーの政府系ファンドは10月、中国国家外為管理局(SAFE)から中国株への投資上限を10億ドルから15億ドルに引き上げられた。ブレンデ外相は「中国との良好な対話は私にとっての優先事項だ」と述べている。

(Adam Rose記者、翻訳:伊藤典子、編集:宮井伸明)

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