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焦点:安倍改憲シナリオ、支持率低下で自民内に異論 解散観測も  
2017年7月31日 / 06:16 / 3ヶ月前

焦点:安倍改憲シナリオ、支持率低下で自民内に異論 解散観測も  

 7月31日、安倍晋三首相の描く改憲シナリオの実現に暗雲が立ち込めてきた。内閣支持率の低下を背景に、自民党内で改憲案の早期とりまとめに異論が出てきているためだ。写真は首相官邸で28日撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 31日 ロイター] - 安倍晋三首相の描く改憲シナリオの実現に暗雲が立ち込めてきた。内閣支持率の低下を背景に、自民党内で改憲案の早期とりまとめに異論が出てきているためだ。連立与党・公明党も慎重姿勢で、2020年の改正憲法施行という安倍首相の目標達成のハードルは大幅に上がっている。これに対応するように、自民党内では今秋にも衆院解散があるとの観測が浮上。安倍首相の政治的な判断への注目度が、にわかに高まってきた。

<支持率低下、改憲発議困難の声>

「これからは、総裁だから何でもごもっともとはいかなくなる」──。自民党・憲法改正推進本部顧問の野田毅衆院議員は、同党内にくすぶる安倍首相への空気を代弁してこう述べた。

安倍首相は5月3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを公表し、2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと表明。

6月24日には、秋の臨時国会中に国会の憲法審査会で自民党の憲法改正案を提案したいと表明。憲法改正に関する党内手続きの加速化にリーダーシップを発揮する意向を示した。

首相側近の下村博文・自民党幹事長代理は6月25日、自民党の改憲案を11月上旬までにまとめる必要がある述べた。

しかし、7月2日の都議選で自民党が大敗し、その後の世論調査で内閣支持率が急落すると、自民党内の憲法改正に対するムードは、大きく変わってきた。

野田氏の発言は、支持率下落による安倍首相の求心力低下がはっきりしている中で、当初の安倍首相の目論見通りに憲法改正の手続きを進めるのは難しくなっているとの見立てを示したといえる。

ある自民党議員も「安倍内閣の支持率が大幅に低下している中で、憲法改正の議論を強力に推し進めるのは難しいとの党内のムードが急速に強まっている」と話す。

というのも、改憲内容を巡って党内が一致しておらず、安倍首相の提案がすんなり通るのか不透明となってきたことがある。

安倍首相は焦点である9条について、戦争放棄を明記した1項、戦力不保持と交戦権の否定を規定した2項を残して、自衛隊を認める3項の新設を提案している。

ただ、自民党の船田元・憲法改正推進本部本部長代行は「党内での一番の相違点は、9条2項を残すか、なくすかという点。 自衛隊は国際的にみて戦力だと言われているし、それにきちんと答えて軍隊として位置付け、自国を守ることを完璧にしたい(だから2項は廃止する)という人が、自民党内にはかなりいる」と述べ、党内調整に時間がかかるとの見方を強くにじませた。

さらに連立与党・公明党のサポートが得られるのか不明な中で、国会での憲法改正発議の手続きが前に進まない可能性が高まる。

同党の山口那津男代表は、今月14日のロイターとのインタビューで「今の憲法を変えてもらいたいと強く望んでいるかというと、今そういう国民の声があるわけではない」と明言。改憲に積極的な安倍首相との「温度差」がかなり鮮明になっている。

憲法改正には、衆参両院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成を得て発議することが必要。公明党が慎重姿勢を崩さない場合、改憲の発議のハードルがかなり上がることになる。

ただ、安倍首相に近い自民党執行部の中には、秋の臨時国会に自民党の改正案を出すという予定に変わりはないと「既定方針堅持」を強調する声もある。

<総裁3選厳しく、来年通常国会に提出必須>

支持率低下は、安倍首相の党総裁3選シナリオの実現にも大きな影を投げかけている。

野田氏は、安倍首相の総裁3選シナリオについて「そういう話だった」と述べた。あえて過去形としたことに触れ「可能性があるというだけ。そうなるかはわからない。今は非常に難しくなったという見方が増えている」と、党内情勢の変化に言及した。

また、内閣支持率の低下は、憲法改正の最大のハードルである国民投票における過半数の賛成票確保に大きな障害となりかねない。

船田氏は「それは大変な危険を伴う。もし、(国民投票での過半数確保に)失敗したら、同じ状況での再提出はできないだけでなく、政治的なダメージの方が大きくなる」と指摘。内閣の支持率を上げない限り、憲法改正の実現は難しいとの見通しを示した。

憲法改正のハードルが上がるにつれ、自民党内では早期の衆院解散・総選挙を安倍首相が断行するのではないかとの観測が急速に広がっている。

憲法改正が難しくなってきたのであれば、安倍内閣の継続を最優先とし、衆院選での野党共闘や、先の都議選で躍進した都民ファーストの国政進出の準備が整う前に解散した方が「得策」との戦術的な見方だ。

安倍首相は、支持率低下の下でも改憲に取り組むのか、それとも早期解散で改憲を断念するのか。日本の政治情勢は、ここに来て一気に緊迫の度合いを高めている。

中川泉 リンダ・シーグ 取材協力:宮崎亜巳 竹本能文 編集:田巻一彦

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