December 20, 2019 / 7:47 AM / a month ago

アングル:財政出動「一本足」のアベノミクス、高まる歳出圧力で健全化遠く

[東京 20日 ロイター] - 安倍政権下での財政健全化が停滞している。20年度当初予算は歳出総額が102兆6580億円で過去最高となった。過去最高の税収を見込みながら、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字幅は縮小しなかった。日銀の金融緩和による景気浮揚力が限られる中で、アベノミクスは財政政策がけん引する形となり、歳出改革へのかじ取りは厳しさを増しそうだ。

 12月20日、安倍政権下での財政健全化が停滞している。20年度当初予算は歳出総額が102兆6580億円で過去最高となった。過去最高の税収を見込みながら、基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字幅は縮小しなかった。写真は都内で9日撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

<前年度剰余金、震災以来の使い切り>

「安倍内閣発足以来、国債発行額を8年連続で減額」――20年度予算案の閣議決定後、財務省が公表した予算案のポイントをまとめた資料には、今回も国債発行を減らす文言が入り、経済再生と財政再建の両立がアピールされた。しかし、国債発行の減額幅は1043億円。前年度比約1兆円の減額となった19年度に比べ、減少ペースは鈍っている。

一方で資料からは、PBの赤字幅縮小に関する1文が抜けた。20年度のPBは9兆2047億円の赤字と、19年度の9兆1523億円の赤字からわずかに悪化したからだ。

予算編成が本格化する前、財務省のある幹部は「安倍政権下では、一貫して新規国債発行は減少してきた」と強調し、20年度の国債発行も減額すると示唆していた。ただ、経済対策や社会保障の充実など高まる歳出増の圧力を前に、どう歳入を工面するのか、予算案には財務省の苦心がにじむ。

例えば、19年度決算で出た約1兆3000億円の剰余金から5274億円を計上した。財政法の規定では、剰余金の半分は国債の償還などに回さなければならないが、剰余金は先に閣議決定した19年度補正予算でも活用されており、政府は特例法を成立させて19年度の剰余金全額を使えるようにする。

特例法案は、東日本大震災の発生で復興対策を盛り込んだ補正予算の編成を急いだ2011年以来のことだ。

<アベノミクスのけん引役、3年前に「交代」>

「何のための消費税率引き上げだったのか」。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは消費税率引き上げに伴う税収増が景気対策に回り、財政再建が進んでいないと指摘する。

宮前氏は、2016年を境にアベノミクスの先導役が日銀の金融政策から財政政策に移ったとみている。

12年末に発足した第2次安倍政権下で日銀は大規模緩和を打ち出し、株高・円安が進行。好調な企業収益を背景に税収は増加基調をたどった。PBの赤字幅は12年度当初予算の24.9兆円から16年度に10.8兆円まで縮小した。しかし16年度以降、PBの赤字額の縮小は減速する。

16年8月、政府は事業規模28.1兆円・財政措置13.5兆円の経済対策を打ち出した。日銀は16年1月にマイナス金利政策を導入したが、金融機関の収益悪化など副作用への懸念が高まり、政府は財政出動重視へ軸足を移したと宮前氏はみている。

16年の「方針転換」から3年、アベノミクスのけん引役は財政のままだ。政府が再び大規模経済対策を打ち出す半面で、日銀は18―19日の金融政策決定会合で追加緩和を見送った。

<「貴重な財源」消失リスク>

日銀の大規模金融緩和による低金利環境の持続は、国債費の減額をもたらしてきた。19年度補正予算では国債費の減額が財源の1つになった。その「金利ボーナス」がいつまで続くのか不透明感がくすぶっている。

20年度予算の積算金利は1.1%。2017年度以降、過去最低の水準が続いている。財務省は金利急騰時の利払い負担増に備え、長期金利の実勢レートよりも高い水準に積算金利を設定している。先行き、長期金利が明確にプラス圏に浮上すれば国債費の減少という「貴重な財源」も見込めない。

ある経済学者は「経済産業省が主導する安倍政権の下で、財政規律はなくなってしまった」と嘆く。「財務省が財政規律を発揮し、事業に優先順位をつけていくべきだ」と話す。

麻生太郎財務相は20日の閣議後会見で、「歳出改革への取り組みは継続しながら、経済再生・財政再建の両立を図る」と述べ、PBの25年度黒字化目標は維持すると強調した。

和田崇彦 編集:青山敦子

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