[東京 6日 ロイター] - 松野博一官房長官は6日午前の会見で、安倍晋三元首相の国葬の警備費用が8億円程度、海外要人の接遇などの費用が6億円程度になると明らかにした。式典にかかる費用として支出する約2億5000万円を合わせると、国葬の全体費用は16億円を超える規模となる見込み。松野長官は「丁寧な説明を尽くすという観点に加え、これまでの各国からの連絡状況を踏まえて一定の推計が可能になった」と公表した理由を説明した。
安倍元首相の国葬は9月27日に予定されている。岸田政権は先月26日、国葬の経費として2億4940万円を一般予備費から支出することを決めたが、海外から来日する要人の警備費用などはこれに含まれず「警察庁や外務省の規定予算を利用し、現時点で確たる額が言える段階でない」(鈴木俊一財務相)などと説明していた。
政府は、警備費などについて国葬終了後に公表する考えを示していたものの、国葬の開催の是非を巡って世論が割れる中、岸田文雄首相が国葬について丁寧な説明を尽くす意向を示していることを踏まえ、現時点での経費の見込みを公表した。
松野官房長官は、国葬には海外から190以上の代表団が参列し、その中で特別な接遇を必要とする首脳級等の代表団の数が50程度と見込まれると述べた。
警備経費8億円程度の内訳は、道府県警察からの派遣のための旅費などの部隊活動や超過勤務手当が5億円程度、車両等の装備資機材や待機所の借り上げの装備費が3億円程度。海外要人の接遇経費6億円程度の内訳は、海外要人の日本滞在中の車両の手配や空港での受け入れ体制の構築等で5億円、一時帰国させる在外公館職員の出張のための旅費が1億円程度と説明した。
<日ロ合意効力の停止、「極めて不当」と抗議>
ロシア政府が5日、日本人と北方領土住民による「ビザなし交流」に関する合意の効力停止を発表したことについて、松野長官は「極めて不当なものであり、断じて受け入れられない」と強調。6日にロシア側に対して強く抗議したことを明らかにした。
北方領土は日本が領有権を主張し、ロシアが実効支配している。ロシア外務省は3月、ウクライナ情勢に関連して日本が行った措置が非友好的だとし、四島交流事業を中止する措置を発表した。この際にも日本政府はロシア側に強く抗議していた。
(杉山健太郎)
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