[東京 2日 ロイター] - 安倍晋三首相は2日の参議院予算委員会で、過激派組織「イスラム国」とみられるグループに日本人2人が殺害された事件について、法によって裁く意向を明らかにした。また、日本人の生命を守るのは政府の責任だとして、自衛隊による在外邦人の救出を可能にする議論を進めていく考えを改めて示した。
<日本人殺害、痛恨の極み>
後藤健二さんとみられる男性の殺害映像が公開されてから一夜明けた2日、参議院予算委員会で答弁に立った安倍首相は、人質解放に向け、ヨルダンをはじめとした関係各国と緊密に連携したことを強調。「詳細はつまびらかにできない」とする一方、「最大限の協力をもらう確約を得た」と語った。その上で、「結果として2人の日本人の命が奪われたのは無念だ、痛恨の極み」と語った。
さらに安倍首相は、「国民の命、安全を守るのは政府の責任。その最高責任者は私」と発言。1月下旬に事件が発生して以降、自衛隊による在外邦人の救出に向けた法整備に意欲を示してきたが、この日も「邦人が危険な状況に陥ったときに、受け入れ国の了承の(ある)なかで、救出も可能にする議論をこれから行いたい」と語った。
イスラム国とみられる犯行グループへの今後の対応については、法に基づいて裁くと説明。「多くの国が協力を表明、情報を提供してもらっている」とし、「どれだけ時間がかかろうとも、国際社会と連携し、追いつめて法の裁きを受けさせる」と述べた。すでに警視庁と千葉県警が合同捜査本部を立ち上げている。
一方、有志国連合がイスラム国に実施している空爆作戦に、日本が参加する可能性については改めて否定。空爆の後方支援を行うこともないとした。
中東への人道支援は継続していく方針で、岸田文雄外相は、首相が中東歴訪中に表明した2億ドルの支援について「中東地域の平和と安定に向けた取り組み、中東諸国から高く評価されている」と語った。
<集団的自衛権、地理的制約受けず>
このほか安倍首相は、今国会で関連法案を提出する予定の集団的自衛権の行使について、「地理的にどこだからそれが当てはまらない、近くなら当てはまる、ということではない」と語り、地理的な制約は受けないとの認識を示した。
また、外交・安全保障政策の柱としている「積極的平和主義」について、平和を維持するために武力を行使するという文脈では考えていない、と語った。
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久保信博、石田仁志、山口貴也
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