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逆回転のアベノミクス相場、政策誤れば海外勢売り加速も

[東京 6日 ロイター] - アベノミクス相場が逆回転を起こしている。日本の政策や企業業績への期待感が低下するなか、海外の長期投資家がポートフォリオのウエートを変更。円高進行と相まって日本株はピークから約25%下落した。海外勢の日本株の比率はオーバーからニュートラルに近づいてきたとみられているが、政策の舵とりを誤れば、アンダーに向かう可能性もあると警戒されている。

 4月6日、アベノミクス相場が逆回転を起こしている。写真は都内で3月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

<変わる海外勢の売り主体>

日本株の売り主体が変わってきた。海外勢が中心であることに変わりはないが、「ヘッジファンドなど短期筋の売りが収まる一方、最近は年金やファンドなど長期投資家による売りが増えてきた」(外資系投信)という。

それを示すのは、現物と先物の売り越し額の変化だ。海外勢は昨年12月にも日本株を1兆9869億円と大きく売り越したが、売りの中心は先物の2兆0198億円。現物は329億円の買い越しだった。先物を短期売買の手段として使うヘッジファンドなどが売りの主体だったとみられている。

しかし、今年に入って現物と先物の売りのバランスが逆転。年初から海外投資家は5兆1868億円売り越したが、そのうち現物株は5兆0042億円。海外の長期投資家がポートフォリオに占める日本株のウエートを引き下げているとの見方がもっぱらだ。

2月第1─2週には先物が約1兆円買われるなど、海外短期筋のスタンスは局面によって変化をみせているが、長期投資家のスタンスは一度、方向転換すると長期化する。海外勢の現物株売り越しは3月第4週まで12週連続となった。

海外でも長期投資家の資金が日本株ETFなどから流出。iシェアーズ・MSCI・日本・ETFEWJの純資産総額は3月31日時点で1兆9245億円と、直近最大だった昨年11月末の2兆4809億円から22%減少した。ウィズダムツリー・日本・ヘッジド・エクイティ・ファンドDXJも昨年11月末からほぼ半減している。

<ポジションはニュートラルに接近か>

市場の関心は海外勢の売りがどこまで継続するかだ。外国人投資家は、13年に日本株を15.6兆円、14年に約0.7兆円、計16.3兆円買い越した。しかし15年に売り転換、昨年以降今年3月までにすでに約8.4兆円と、およそ半分を売り越している。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの月次ファンドマネージャー調査によると、グローバル投資家による日本株の配分状況は、3月時点で前月比マイナス9%ポイントのプラス15%。オーバーウエートは維持されているものの、3カ月連続で低下しており、4月調査ではさらにニュートラルに近づいてきている可能性がある。

ただ、現時点では、海外勢がポートフォリオ内の日本株ウエートをアベノミクス相場以前のような大幅なアンダーウエートに戻す可能性は低いとの見方が市場では多い。

「アベノミクスへの期待感が薄らいだとはいえ、日銀の金融緩和路線に変化はなく、企業業績のレベルも高い。ここからさらにウエートを引き下げる動きは強まらないだろう」とJPモルガン・アセット・マネジメントのストラテジスト、重見吉徳氏はみる。

6日の日経平均.N225は小幅マイナスで終了。自律反発の力は弱く、ダウンサイドリスクはまだ強いが、いったん売りは止まっている。

<短期筋の売り仕掛けも要警戒>

しかし、市場では、今後の政策次第では、海外勢の日本株比率がアンダーウエートに向かう可能性もあるとの警戒感も強い。

「日本の需給ギャップは8兆円。10兆円規模の財政出動が必要だ。5兆円程度では失望されかねない。銀行株を急落させかねないマイナス金利拡大は封印すべき。政策の舵とりを誤れば、海外の長期投資家も日本株売りを加速させる可能性がある」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は話す。

ヘッジファンドなど短期筋の日本株売りは止まっているが、円高・株安がトレンド化するようであれば、アベノミクス相場初期にみせた円売り・日本株買いの「安倍トレード」と正反対の円買い・株売りの仕掛けをしてくるおそれもある。

政策の限界論が強まる中で、それを止める手立ては乏しいという市場の見方が、いまの円高・株安の背景だ。

企業業績や賃金の改善、インバウンド含む国内消費の押し上げ、デフレ圧力の緩和などアベノミクスの経済効果は、円安や株高の「アベノミクス相場」によって大きく顕在化した。「アベノミクス相場」の行方は政権の先行きも左右しかねない。選挙前の財政バラマキ、金融圧迫のマイナス金利などとマーケットでネガティブに受け止められないよう、政策に工夫が求められている。

(伊賀大記 編集:石田仁志)

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