January 30, 2018 / 5:30 AM / 7 months ago

焦点:動き出す流通業界「生産性革命」、AIとロボット連携に広がり

[東京 29日 ロイター] - 流通業界では、人口知能(AI)とロボットを組み合わせた省力化投資がにわかに動きを強めている。景気拡大やネット通販拡大に加えて働き方改革の影響もあり、人手不足に拍車がかかり、手をこまねいていては事業拡大もままらない状況がある。情報化投資では米国の3分の1と言われる日本の非製造業の低生産性打破には、大手だけでなく中小企業までIT化の裾野を広げることが不可欠だ。政府も後押しに本腰を入れ始めた。

 1月29日、流通業界では、人口知能(AI)とロボットを組み合わせた省力化投資がにわかに動きを強めている。景気拡大やネット通販拡大に加えて働き方改革の影響もあり、人手不足に拍車がかかり、手をこまねいていては事業拡大もままらない状況がある。写真は中国の物流倉庫内で商品を探す従業員。昨年11月、上海で撮影(2018年 ロイター/Brenda Goh)

<コンビニ業界、投資額は3─5割増額>

1店舗当たり平均20人のアルバイトが必要と言われるコンビニエンスストア。人手不足の影響を最も顕著に受けており、RFID(電子タグ)の活用をはじめとして、人口知能とロボットを導入した次世代コンビニ構築が喫緊の課題となっている。

ローソン(2651.T)は18年2月期の設備投資額を期中に20億円増額。全体で1010億円、前年比で33.7%という大幅増の計画だ。

竹増貞信社長は「深夜営業(での課題)をテクノロジーを使って解決したい」と話し、今年春をめどに、無人レジ店舗の実証実験を開始することを明らかにしている。

レジロボといわれるセルフレジやタブレットを活用した生産性向上などにも取り組んでおり、19年2月期も高水準の設備投資になる見通しだ。   セブン&アイ・ホールディングス(3382.T)も国内コンビニエンスストアについては、18年2月期に同1.5倍の1832億円を投じる。新しいレイアウトの店舗への変更などに加え、生産性向上のため、全店舗にカウンター商材の販売什器を洗浄する食洗機を導入している。手洗いに比べて作業時間を約1時間短縮できるため、1店舗当たり1日1時間削減することで、年間約30万円の人件費削減となり、全体では年間60億円を超えるコストカットが可能だ。

コンビニ業界には、省力化投資を怠れば業容縮小を余儀なくされかねないという焦りがある。日本経済全体でもこの構図は当てはまる。日本総研の牧田健・主席研究員によると、労働力人口の減少の下で、労働生産性の伸びが現状程度にとどまった場合、20年代はプラス成長を維持できても、30年代にはマイナス成長が常態化する恐れがあるという。

<流通倉庫のロボ化が急速に普及>   通販の世界でも、人手不足は深刻化している。2010年以降、売り上げは6年間で1.5倍、年間8%の伸び(日本通信販売協会)となっており、国内総生産(GDP)ベースで年率1%にも満たない民間消費の伸びをはるかに上回る。

流通倉庫では、AIでシステム制御された無人搬送ロボットの導入が世界規模で広がりを見せる。米アマゾン・ドットコム(AMZN.O)が導入している米国製「KIVA」をはじめ、日本、中国、インドなど各国企業のロボットが活躍している。

ニトリホールディングス(9843.T)は、18年2月期に過去最大規模となる設備投資を実施。都心部での出店攻勢や通販の拡大で、物流施設の自動化・省力化を急ぐ。

西日本通販発送センター(大阪府茨木市)では、昨年12月にインドのロボットベンチャー、GreyOrange社の無人搬送ロボット「バトラー」が日本で初めて稼働を開始した。

「バトラー」は、商品保管用の棚を作業者の手元まで運ぶ無人搬送ロボットで、79台の導入により、作業効率が4.2倍に向上したという。また、コンテナからの商品の荷降ろしを助ける「エルデバン」も稼働を開始している。

企業向け工具通販のモノタロウ(3604.T)でも、茨城県笠間市に85億円を投入して新物流センターを構築。モノのインターネット(IoT)、AIの活用による日立製作所(6501.T)の無人搬送ロボット「ラックル」154台を17年5月に導入、1000万点の品物を取り扱う。納期短縮と在庫圧縮により生産性は従来倉庫の2倍を実現。同社広報では「アマゾンとの競合は当然念頭にある」として、さらなる効率化の追求は必至とみている。

<先端IT導入3割どまり、非製造業の底上げ急務>

省力化投資の動きは機械受注統計にも表れた。17年11月機械受注では、卸・小売業から異例の大型受注が入り、前年比61%増を記録。運輸業からの受注も同11.6%増と2桁の伸びとなった。運搬機械やロボットの受注は、前年の3割近い伸びとなっている。

受注側の機械メーカーでも、ファナック(6954.T)が今期3回目の業績予想の上方修正を行った。

ただ、日本企業全体におけるIoT、AI、ロボット、クラウドといった新技術の導入割合は、まだ高くない。昨年の経済白書では、こうした技術のうち1つでも導入した企業の割合は36%にとどまっていると指摘している。

日本生産性本部によれば、製造業の労働生産性は米国の7割。非製造業では米国の半分以下にとどまる。国際競争に生き残り、人手不足を乗り越えるためにも中小非製造業をはじめとする省力化・情報化武装が急務の状況だ。

中川泉 清水律子  編集:田巻一彦

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