March 12, 2020 / 7:46 AM / 21 days ago

焦点:過当競争の欧州航空業界、新型コロナで再編加速か

[パリ 9日 ロイター] - 新型コロナウイルスの影響で、事業者ひしめく欧州航空業界はダーウィンの進化論ばりに淘汰と再編が進み、最終的に格安航空会社(LCC)のライアンエア(RYA.I)とブリティッシュ・エアウェイズの親会社IAGが恩恵を受ける──業界の専門家はそんな見立てをしている。

新型コロナウイルスの影響で、事業者ひしめく欧州航空業界はダーウィンの進化論ばりに淘汰と再編が進み、最終的に格安航空会社(LCC)のライアンエアとブリティッシュ・エアウェイズの親会社IAGが恩恵を受ける──業界の専門家はそんな見立てをしている。写真は2013年5月、英国のリーズで撮影(2020年 ロイター/Philip Brown)

短期的な痛みを回避できる航空会社はどこもないだろう。すでに英LCCフライビーは破綻し、ノルウェージャン・エア(NWC.OL)は1カ月間で株式価値の約70%を失った。危機がいつ終息するのかも見えない。

極端なストレステストを想定してみると、感染が最終的に終息に向かい、乗客が一斉に戻ってくる際には、一握りの主要な航空会社が力をつけることになりそうだ。

ライアンエアのマイケル・オレアリー最高経営責任者(CEO)は最近のインタビューで「向こう数週間で破綻などが増えるのは避けられない」と述べ、脆弱な会社としてフライビーとノルウェージャンの可能性を示唆していた。

それから数日のうちにフライビーは新型コロナの流行を理由に資金が枯渇したとして操業を停止。ノルウェージャンは発表していた今年の業績見通しを撤回した。

ノルウェージャンはオレアリー氏の発言に反応していないが、昨年11月に株主から、2年足らずの間で3度目となる資金調達を実施。コスト削減や不採算路線の縮小、資産の売却を進めている。

米航空市場は現在4社が計80%のシェアを支配するのに対し、欧州市場では多数の会社が依然として存在する。政府や労働組合や2国間協定が連携を阻んでいる。ここでは業界再編は、競合航空会社の破綻から路線や旅客を獲得することで起こる。

フライビーの破綻は、ライアンエアやイージージェット(EZJ.L)が重複していた路線での価格競争を和らげる。ノルウェージャンが撤退しても競合他社には同様の追い風が吹く。

シティグループのアナリスト、マーク・マンデュカ氏は「新型ウイルスによって再編という命題に恐らく極端なレベルまで拍車がかかる」と予想。欧州の短距離航空市場では昨年、35%が赤字路線だったと指摘した。航空業界への投資家には、来年に市場を統合できる資本力のあるライアンエアとIAGへの投資を続けることを薦めたいという。

新型ウイルスの影響を受ける路線は増加している。ルフトハンザ航空(LHAG.DE)は輸送能力の50%削減を強いられ、他社も似たようなものだ。ただ全体への影響はまだ発表データでは明らかになっていない。

イタリアの感染急拡大を受けて、欧州へ向かう国際線の予約は79%減少。2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)での落ち込みをしのぐのは確実な情勢だ。国際航空運送協会(IATA)によれば、今年の世界の航空業界の収入は1130億ドル消失する可能性がある。

<運航休止の影響>

航空会社の経営陣は依然、SARSの際と同様な需要の「V字回復」の望みを捨てていない。財務基盤が強固な会社なら、需要の急回復に備えた計画づくりをしている余裕もあるだろう。

シティの推計では、エールフランス・KLM(AIRF.PA)は3カ月間の運行停止で利払い・税・償却前利益(EBITDA)への純債務比率が7.7倍に上昇する。ルフトハンザなら12.4倍。しかしライアンエアの場合は、比較的しのぎやすい1.2倍、イージージェットは1.9倍、IAG(ICAG.L)で3.5倍という。

ライアンエアではボーイング(BA.N)の737MAX機の運航停止措置が事業の成長を阻むなどしてきた。しかしオレアリーCEOは3月3日のイベントの席上、運航できる旅客機が減ったタイミングで新型ウイルスの危機が起きたことが、短期的に打撃を緩和していると表明してみせた。

バーンスタインのアナリスト、ダニエル・ロエスカ氏は、ポルトガルのTAP、アリタリア、スカンジナビア航空(SAS)(SAS.ST)など中堅クラスの航空会社は財務基盤が盤石ではないため、経営が危なくなる可能性もあると指摘した。

SASの広報担当者は運航減便や従業員の一時帰休、新規採用の凍結などコストを抑える「強力な措置」を講じていると説明。TAPは最近のコスト削減と債務再編で財務状況の好転は可能との見方を示した。

ロエスカ氏によると、仮に破綻した場合に業界再編を促す可能性がある航空会社で最も意味があるのはノルウェージャン。大規模な路線網があることやライバル勢との路線重複を挙げた。

<救済は見込めず>

現在の危機的状況が航空大手の経営を脅かしたとしても、エールフランス・KLMやルフトハンザが政府によって破綻を容認されると予想する向きは少ないだろう。一方で航空大手は、中小の競合企業を政府が支援することを警戒する。

IAGのウォルシュCEOは「今回の事態が起きる前から政府支援を求めていた航空会社はあった」と指摘。新型ウイルスは、比較的弱い航空会社が政府支援を要請する口実になってはならないとの考えを強調した。

今回の打撃はエールフランス・KLMを揺り動かすかもしれない。ベン・スミス新CEOは営業経費削減と収益性改善のため、金のかかる機体刷新を追求している。ただ、スミス氏はロイターに、ビジネス客の予約は打撃を受けているものの、アジアの状況は底打ちしつつあるかもしれないと述べた。中国の一部路線は早期に再開できるかもしれないとも語った。

もっとも同社の他の幹部らは内々に懸念も示している。ある幹部は、利益率が低いため競合大手よりも自分たちはぜい弱で、「光明は全く見えていない」ともらした。

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