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アングル:欧州航空各社、夏季ダイヤは「いちかばちか」の賭け

[パリ 2日 ロイター] - 欧州の航空会社は、新型コロナウイルスのパンデミックで旅行需要のはっきりした見通しが持てないまま、夏季繁忙期の運航計画をいちかばちかで立てざるを得ない状況に追い込まれている。

2月2日、 欧州の航空会社は、新型コロナウイルスのパンデミックで旅行需要のはっきりした見通しが持てないまま、夏季繁忙期の運航計画をいちかばちかで立てざるを得ない状況に追い込まれている。ジュネーブの空港で2020年12月撮影(2021年 ロイター/Denis Balibouse)

運航計画を決める期限は目前に迫っている。航空会社は一般的に夏季繁忙期の利益で冬季を乗り切るが、見通しがこれほど不透明なのは初めてだ。

欧州各地の度重なるロックダウン(都市封鎖)で航空各社は痛撃を受けた。資金繰りが苦しい中で、コストのかさむ運航再開や、自宅待機中の従業員の職場復帰、あるいは再雇用などに着手するタイミングを決めなければならない。判断を誤れば、ガラガラの状態で旅客機を飛ばして赤字が膨らむ。一方、需要を小さく見積もり過ぎれば、大切な顧客をライバルに奪われる。

<「数分ごとに風向きが変わる」>

航空業界に助言するグリッドポイント・コンサルティングのロバート・ボイル氏は「数分ごとに風向きが変わる状況でヨットを走らせるようなものだ」と話した。「普通は航空会社に3種類のスケジュールで対応するよう話しているが、今は50種類だ」と言う。

3月28日に始まる夏ダイヤを計画することは、かつてないほど掛け金の張る推測ゲームになっている。昨年に続いて「失われた夏」になるかどうかは、感染力の強い新型コロナ変異株の拡大と、ワクチン接種との競争にかかっているからだ。

航空関連情報を扱うOAGの運航データによると、航空会社は昨年夏のロックダウン第一波の影響で、西欧で予約が入っていた7億5500万座席の72%がキャンセルとなった。今夏の予約は今のところ6億8400万座席だが、その多くがキャンセルされそうだ。

OAGのアナリストのジョン・グラント氏は「ほとんどの航空会社は今のところネットワークの大部分で運航を計画しているが、縮小は避けられない」見通しのため、輸送能力について計画を立てるのは「ほぼ無意味だ」と述べた。

<悪夢の運航計画>

先行きが不透明なため、顧客はぎりぎりになってからチケットを予約しようとしており、このことがダイヤの計画をさらに難しくしている。通常、初期の予約状況を前年データと比較して計画を立てる担当者にとっては悪夢だ。

OAGのグラント氏は「予約のパターンが見えなくなった。従って、パターンを見いだすためにデータの分析やメタサーチ、ソーシャルメディアへの投稿、グーグルなどを利用することが増えている」と話した。

アルファベット傘下のグーグルや航空チケット検索スカイスキャナーは、インターネット上の検索から実際の旅客需要を推計するツールを提供し、こうした「空白」を埋めている。

スカイスキャナーのヒュー・アイトケン氏は、消費者は「おそらく以前より早い計画段階でスカイスキャナーを見ている」と述べた。「われわれは、待機している需要の見通しを提供することができる」と言う。

例えばスカイスキャナーでは先月、10月の英国-スペイン便の検索が20%増加した。ファイザー製ワクチンの有効性が発表された際には英国の予約が37%急増し、制限が緩和されたときに需要がいかに素早く持ち直すかも分かった。

アイトケン氏は「過去のトレンドは役に立たない。航空会社は非常に素早く経営判断を下す必要があるだろう」と述べた。

エールフランスKLM航空によると、同社はインターネット検索のデータを活用することで、フランスとカリブ地域を結ぶ便の運航を素早く4倍に増やし、クリスマスにかけて不可欠なキャッシュを確保したという。

ルフトハンザ航空もグーグルからデータの提供を受けている。エールフランスKLMとルフトハンザは、ほとんどの機体の運航を短期間で再開できるとしている。

<身動き早い格安航空の攻勢>

今年の夏季繁忙期に格安航空会社が攻勢の第一波を仕掛けてくるのも間違いない。格安勢はこれまでも業界が危機に直面する機会をとらえ、シェアを伸ばしてきた。

空港運営会社が離着陸枠の権利を凍結しているため、既に枠を保有している航空会社に掛かる圧力はいくらか弱まっている。しかし関係筋によると、格安勢はコスト面で柔軟性が高く、バランスシートも強固なため、リスクを引き受けたり値引きに動いたりすることが可能であり、運航再開に素早く動く公算が大きいという。

ベイン・アンド・カンパニーのパートナー、ジョフレー・ウェストン氏は「格安航空の方が、全ての機体の運行を停止するだけでなく、再開することも容易だ。上昇気流でも下降気流でも勝てる」と話した。

格安航空ライアンエアのニール・ソラハン最高税務責任者(CFO)は、既に「客室乗務員の採用を進めている」と明かした。「追加のコストがある程度かかるだろう。しかし状況が改善したときに備えたい」という。

同社のマイケル・オライリー最高経営責任者(CEO)によると、フライトシミュレーターへのアクセスが限られるため、同社は無乗客の飛行まで行ってパイロットの操縦時間を維持し、直ちに運航を再開するのに必要な基準を上回るようにしている。

イージージェットのヨハン・ランドグレンCEOによると、同社も柔軟性を重視しているが、「制限解除の見通しが早く明らかになるに越したことはない」と述べた。

航空会社はリスク回避手段として、欧州域内の夏季リゾート地に絞った運航計画を推し進めることになりそうだ。

OAGのデータによると、現在予定されている航空便はフランス、ギリシャ、ポルトガル行きがコロナ禍前の2019年に比べ8%弱の落ち込みにとどまっているのに対して、エジプトやチュニジア行きは25%減少している。

ウィズエアーのヨーゼフ・バラディCEOは、今夏の旅行にゴーサインが出るとしても、非常に差し迫ったタイミングになるかもしれないと予想。それでも格安航空は、3週間で運航を再開できると言う。

「みんな都会から脱出したがる。海辺の場所は信じられないほど人気を集めるだろう」と語った。

(Laurence Frost記者、Sarah Young記者)

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