March 13, 2019 / 7:39 AM / 2 months ago

焦点:737MAX墜落、運航停止が航空会社に「歓迎」される訳

[シンガポール/ドバイ 13日 ロイター] - エチオピア航空が運航する米ボーイング(BA.N)の新小型旅客機「737MAX8」の墜落事故を受け、複数の国が同型機の運航を停止するなど、世界の航空業界に衝撃が走っている。

多くの航空会社が他の機種でフライトスケジュールを維持しようとする一方、経済的苦境にある一部の航空会社にとっては「恵みの停止」となるかもしれない。

ボーイングで最も売れているジェット機の最新型である「737MAX8」は、2017年に就航したばかりであり、他の定番となった主力機と比べ、その数はまだ多くない。

「ボーイング737─800のような機種が運航停止となれば、その影響は甚大だ。だが(737)MAXの場合、世界で運航している数は400機にも満たない」と、ある航空アナリストは指摘。大半の航空会社は「その穴を埋める」ことが可能だと付け加えた。

10日に発生したエチオピア航空機墜落事故では157人が犠牲となった。189人が命を落としたインドネシア格安航空会社(LCC)ライオン航空の同型機による墜落事故が昨年10月に起きてから半年もたっていない。

フライトグローバルによると、今週運航が停止されるまで、中国をはじめ各国で371機の737MAX機が運航していた。ロイターが試算したところ、737MAX機の約3分の2が現在運航を停止している。

前モデルの737ネクストジェネレーション(NG)シリーズは6000機以上運航されている。これに比べ、今回は各航空会社は少なくとも一部のフライトを他のジェット機に変更して運航することが可能だ。

「運航停止による影響は、世界で運航中の同型機の数が比較的少ないため当面は限定的になる」と、航空コンサルタントのジョン・ストリックランド氏はロイターに語った。

世界経済が減速する中、航空産業の成長もピークを迎えているのではないかとの懸念が見え始めたこの時期、各航空会社にとって運航能力の削減は必ずしも悪いことではない。

「今はオフシーズンであり、削減しやすい状況にある。一部の航空会社は過剰な運航能力の方を問題視している」と、西側のある航空当局者は語った。

<頭痛の種>

737MAX8なしで当面乗り切ることができる航空会社にとっても、その代償は高くつくことになるだろう。

「運航停止により、フライトがキャンセルとなり、収益に影響が出る航空会社にとっては悩みの種だ」とストリックランド氏は言う。

 3月13日、エチオピア航空が運航する米ボーイングの新小型旅客機「737MAX8」の墜落事故を受け、複数の国が同型機の運航を停止するなど、世界の航空業界に衝撃が走っている。写真は737MAX。ワシントン州で2015年12月撮影(2019年 ロイター/Matt Mills McKnight)

3月は繁忙期ではないものの、一部の航空会社は打撃を受けている。フライト情報を提供する中国のアプリ「飛常准」によると、事故翌日の11日には国際便と国内便合わせて少なくとも29便がキャンセルされた。

だが、737MAX8機を使用する予定だった他の256便については他の機種に変更して運航された。

シンガポールのチャンギ国際空港は12日、中国山東省の省都、済南を発着する山東航空737MAX機のフライトがキャンセルされたが、他のフライトは航空機を変えて運航されたと明らかにした。

シンガポール航空(SIAL.SI)、ライオン航空とガルーダ・インドネシア航空(GIAA.JK)、そして国有の中国国際航空(601111.SS)と中国東方航空(600115.SS)、中国南方航空(600029.SS)は、MAX以外のジェット機を大量に保有していると前出のアナリストは語る。

<納入への影響は>

エチオピア航空機墜落事故でより大きな影響が出るのは、今後の納入かもしれない。大韓航空(003490.KS)などの航空会社が737MAX8機を比較的大量に発注しているからだと、 韓国シンヨン証券のシニアアナリスト、Um Kyung-a氏は指摘する。

「この半年以内に起きた2度の墜落事故の原因をボーイングが突き止めることができなければ、こうした航空会社にとって大きな頭痛の種となるかもしれない。そうなった場合、発注済みの737MAX8に代わる計画を打ち出す必要が出てくる」

ブラジルのゴル航空は、ボーイング737MAX8機を100機発注している。7機を運航していたが、11日に運航停止を決めた。

ゴル航空はボーイング737モデルのみを使用しており、新型の同MAX8機への移行を、今年後半にさらに11機リースすることで加速させると昨年12月に明らかにしていた。

737MAX機を13機所有するフライドバイは、737シリーズの旧モデルに変更するなど、旅客への混乱を最小限に抑えるためスケジュールを調整していると明らかにした。一方、フィジー・エアウェイズは所有する737MAX2機の運航停止に伴い、他の737モデルやエアバス(AIR.PA)のA330シリーズに変更するとしている。

昨年10月に737MAX8機で墜落事故を起こしたライオン航空は同型機の一部納入を拒否している。だが、同社は過剰な運航能力に苦しんでおり、納入の遅れによって恩恵を受けるだろうと専門家は指摘する。

ライオン航空は昨年11月、墜落事故を巡る対立から、注文をキャンセルするとボーイングに迫ったが、実際にはキャンセルしていないと業界筋は言う。もう1つのサプライヤーであるエアバスは、より多くの自社機を売り込もうと同社と協議しているとみられる。

マレーシア当局者は11日、同国のフラッグキャリアであるマレーシア航空に対し、737MAX25機の注文を見直すよう求めたことを明らかにした。

「財政や政治といった安全面以外の要因があると思う」と、マレーシアの航空コンサルティング会社エンダウ・アナリティクスのシュコア・ユソフ氏は指摘する。

 3月13日、エチオピア航空が運航する米ボーイングの新小型旅客機「737MAX8」の墜落事故を受け、複数の国が同型機の運航を停止するなど、世界の航空業界に衝撃が走っている。写真は737MAX。ワシントン州で11日撮影(2019年 ロイター/David Ryder)

「各航空会社がすでに発注しているオーダーが完全にキャンセルされるとは思わない。未回答の問題がまだ多く残されているから」

(翻訳:伊藤典子 編集:山口香子)

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