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コラム

コラム:アラムコ株安定の裏に売るに売れない投資家の存在

[ロンドン 3日 ロイター BREAKINGVIEWS] - サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコ2222.SEは、コロナ禍の時代でも順風満帆のように見える。今年1月以降で西側のライバルであるロイヤル・ダッチ・シェルRDSa.LRDSa.ASやBPBP.Lなどの企業価値が半分以下に落ちているのに、アラムコの株価はほぼ同じ水準にある。ただそれは、単にアラムコの方が大規模で、財務基盤がしっかりしているからではない。

11月3日、サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコは、コロナ禍の時代でも順風満帆のように見える。アブカイクのサウジアラムコ施設で2019年10月撮影(2020年 ロイター/Maxim Shemetov)

事業環境の面では、原油価格を1バレル=70ドルから40ドル付近まで急降下させた新型コロナウイルスの悪影響を、当然ながらアラムコも被っている。第3・四半期の純利益は前年同期比で4割超も減少。平均資本利益率は15%と、シェルの4%は大きく上回ったものの、1年前の半分よりも小さい。

JPモルガンのアナリストチームは、アラムコが今年生み出す営業キャッシュフローを610億ドルと試算している。これはアラムコが支払いたいと考える配当総額750億ドルをカバーできず、250億ドルの設備投資を加えればなおさら足りない。1年前にゼロだった純債務は現在、総資本の22%相当になっている。

アラムコの現在の企業価値1兆8000億ドルで換算すると、750億ドルの配当は4.1%の利回りに相当する。エクソンモービルとトタルが投資家に提供しているのはいずれも約10%だ。それでもアラムコのナセル最高経営責任者(CEO)は、2024年までこの配当額を維持するとともに、民間投資家への支払いを最優先すると請け合った。こうした姿勢が、アラムコ株にまるで債券のようなクオリティーを付与している。

今でもアラムコこそが、大手石油会社で最後まで生き残る企業だと考えられる。生産コストはライバルより低い。また2050年までに温室効果ガス排出を実質的にゼロにする取り組みに欧州のほか中国が加わったとしても、世界の石油需要は今年見込みの日量9200万バレルから、30年までに1億0300万バレルに回復する可能性がある。そうだとすれば、足元で生産能力増強に向けた投資が行われないなら、原油価格は反発するだろう。

一方、なぜアラムコ株が安定しているかについては、もっと面白味に欠ける理由もある。つまり昨年の上場後も、浮動株が極端に少ないということだ。サウジ政府以外の投資家が保有するのは発行済み株式のわずか1.7%で、外国人投資家の持ち分はこれら売り出された株の5分の1弱にとどまる。そして浮動株の過半数を握るサウジの機関投資家は、外国人ほど気楽に持ち分を売却できないかもしれない。なぜならサウジの政治経済を事実上取り仕切るムハンマド皇太子が、体制批判と受け止める恐れがあるからだ。西側のライバル企業は、アラムコに比べれば株主の忠誠心を確保できる方策はどうしても限られてくる。

●背景となるニュース

*サウジアラムコが3日発表した第3・四半期の純利益は前年同期比で45%減少。アナリスト予想とほぼ一致した。[nL4N2HP1LL]

*純利益は442億リヤル(118億ドル)、前年同期は798億リヤルだった。リフィニティブがまとめた3人のアナリストの予想中央値は、446億リヤル。

*年間で750億ドルの配当を実施する計画に基づき、第3・四半期分として187億5000万ドルを支払う方針も示した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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