[ワシントン 29日 ロイター] - 米小売大手クローガーによる競合大手米アルバートソンズ・カンパニーズの250億ドルでの買収合意が各方面から懸念を呼んでいる問題で、両社最高経営責任者(CEO)らは29日、米上院司法委員会反トラスト小委員会の公聴会で懸念打ち消しに追われた。
2社はそれぞれ傘下に幾つものスーパーマーケットチェーンを抱える。買収は連邦取引委員会(FTC)が反トラスト法(独占禁止法)に違反していないか審査することになっている。
クローガーのロドニー・マクマレンCEOは、合併後の新会社も米小売り首位のウォルマートよりはるかに小さいと弁明し、「新会社は業界4位にとどまることになる」と主張した。
小委員会では、委員長のクロブシャー議員(民主党)が買収によりスーパー業界の競争が失われ、インフレが既に高進している時期にさらなる物価高を招きかねないと批判。「こうした懸念が国内あちこちから聞こえている」と述べた。
共和党のマイク・リー議員もアルバートソンズが2015年に米スーパー大手セーフウエイを買収した際の逸話を挙げ、今回の買収合意発表時に約束された店舗整理・売却計画の実現性に疑念を表明した。アルバートソンズとセーフウエイは市場競争が維持され販売価格上昇につながらないよう計168店舗の売却を余儀なくされたが、アドバートソンズは結局数十店舗を買い戻した。
今回の買収は労組や左派急進派グループも解雇・失業や賃下げを通じて所得格差が悪化すると批判し、政府に阻止を要請している。一方で共和党保守派のトム・コットン議員は小委員会で、クローガーの従業員用エプロンのデザインが性的少数者の権利擁護のシンボルに見えるとし、同社がこの着用を従業員に強要しているのに買収となると共和党に泣きついてくると強く批判した。
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