September 15, 2018 / 1:02 AM / 2 months ago

コラム:ジャック・マー氏退任のアリババ、企業統治に懸念も

[香港 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング(BABA.N)は10日、来年9月に共同創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が会長職を退き、ダニエル・チャン(張勇)最高経営責任者(CEO)が後任に就くと発表した。

 9月10日、中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングは、来年9月に共同創業者の馬雲(ジャック・マー)氏(写真)が会長職を退き、ダニエル・チャン(張勇)CEOが後任に就くと発表。写真は2017年、ブエノスアイレスで撮影(2018年 ロイター/Marcos Brindicci)

馬氏が今年9月に会長を辞すると記者に語ったわずか3日後のことだ。先々のプランを立てるのは称賛に値するが、今回明らかになった会長交代は企業統治の面では問題が多い。

馬会長は多くの中国系ハイテク企業のトップと異なり、いったん立ち上げた検討チームを解散するなど、後継者選びに手間取った。アリババの従業員、顧客、株主向け書簡によると、円滑な体制移行のため馬氏は会長退任後も2020年に任期が切れるまで取締役会のメンバーに留まる。

これである程度、混乱が払拭された。7日の米ニューヨーク・タイムズ紙は、馬氏が今年9月に退任して慈善活動に心血を注ぐと述べたと報じたが、一方でアリババ傘下の香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストはニューヨーク・タイムズ紙の報道を否定。アリババの広報担当者はニューヨーク・タイムズ紙が馬氏の発言の文脈を無視していると述べたと伝え、投資家の間で憶測が広がっていた。

しかし今回の退任計画には不安材料が多い。第1にチャン氏が会長職とCEOを兼務し、企業統治の観点で最良とは言えない。チャン氏は既に、中核幹部36人で構成され、過半数の取締役の任命権限を持つ「アリババ・パートナーシップ」のメンバーであるばかりか、新たなパートナー(共同経営者)の指名やその賞与額を決定する「パートナーシップ委員会」にも属し、権限が極めて集中する。

さらに心配なのは、2020年以降の馬氏の影響力がはっきりしないことだ。馬氏は正式な肩書は失うが、終身にわたりアリババ・パートナーシップとパートナーシップ委員会のメンバーとなる。そのため取締役会レベルの課題や、さらにはアリババの企業文化や経営ビジョンといったより形のない分野に対して絶大な影響力を持つことになる。株主にとってこうした曖昧さはありがたくない。

オンライン決済システム「アリペイ」を運営するアント・フィナンシャルなどアリババの傘下企業に対する馬氏の影響力がどう変わるのかもはっきりしない。時価総額1500億ドルのアント・フィナンシャルは馬氏がほぼ1人で切り回しており、アリババと共同で投資も行っている。それなのに、19日の発表文にはアント・フィナンシャルへの言及がない。発表文に「引退」の文字が見当たらないのと併せ、奇妙なことだ。

●背景となるニュース

・アリババは10日、共同創業者の馬雲(ジャック・マー)会長が2019年9月10日に退任すると発表した。後任はダニエル・チャン(張勇)最高経営責任者(CEO)。馬氏は、取締役としては2020年までの任期を全うする。

・馬氏は中核幹部36人で構成する「アリババ・パートナーシップ」の終身パートナーで、パートナーシップ委員会のメンバーでもある。アリババ・パートナーシップは取締役の過半数を指名する権限を持つ。

・7日のニューヨーク・タイムズ紙によると、馬氏は同紙とのインタビューで54歳の誕生日を迎える今年の9月10日に退任すると述べた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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