[6日 ロイター] - 米製薬大手ファイザーPFE.Nとアイルランドの同業アラガンAGN.Nは6日、約1600億ドルでの合併計画を白紙にすると正式に発表した。節税目的で本社を税率の低い国に移転する「インバージョン」の抑制を目指すオバマ米大統領にとっては大きな勝利となった。
ファイザーは買収を断念した理由として、米財務省が4日発表した企業の課税逃れに対する規制強化を挙げた。同社はアイルランドへの本社移転で年間10億ドル程度を節税できると見込んでいたが、新規制でこうした効果が受けられなくなると判断した。
ファイザーは買収を白紙撤回したことで、数百のジェネリック(後発医薬品)を別事業として切り離すかどうか今年判断するとした。同社はアラガン買収計画を発表した昨年11月、ジェネリック事業に関する判断を2019年まで保留するとしていた。
またアラガンは、ジェネリック事業をイスラエルのテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズTEVA.TAに405億ドルで売却する計画を進めるとした。6月末の完了を見込む。
ファイザーはアラガンに対し、買収準備に関連する費用返済として1億5000万ドルを支払う。
関係筋によると、ファイザーはアラガン買収計画を維持するために代替策を模索しても、米財務省が合併阻止に向けて再び規則を変更する可能性があると懸念したようだ。
過去には米政府の税逃れ対策で、米バイオ医薬品大手アッヴィABBV.Nもアイルランドに拠点を置くシャイアーSHP.Lを550億ドルで買収する計画を断念している。
序盤の米国株式市場で、ファイザー株価は1.4%値上がり。一方、前日15%下落したアラガンは0.2%高となっている。
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