June 12, 2018 / 5:17 AM / 10 days ago

インタビュー:北朝鮮の投資対象化、かなりの年月必要=アライアンス・バーンスタイン

[東京 12日 ロイター] - 米資産運用会社アライアンス・バーンスタイン(AB.N)の新興国成長株の運用責任者、ロラン・サルティエル氏は、北朝鮮が投資対象になるにはかなりの年月が必要だとの認識を示した。経済的に好影響があるとすれば韓国であり、日本への影響は限定的だとみている。12日、ロイターのインタビューに応じた。

同社の新興国成長株の受託資産残高は、今年3月末時点で27億ドル。

主なやりとりは以下の通り。

──北朝鮮は、投資可能な新たな新興国市場になり得るか。

「あまり楽観的にはみていない。少なくとも短期的には、大きな改善があるとは予想していない。15年、20年後なら分からないが、10年以内に大きな改善があるとしたら、それはサプライズだ」

「北朝鮮は統制経済であり、民間企業が活躍する余地が乏しい。経済の規模も小さいし、産業も発達していない。魅力は限定的であり、経済のシステムが変わったとしても投資対象となるには、かなりの年月がかかるとみている」

──もし、融和ムードが進めば経済的なプラス効果が期待できるのではないか。

「影響は、まず韓国に表れるとみている。韓国株は長い間、割安な状況が続いていた。その理由の1つが北朝鮮リスクだ。そのリスクが後退すれば、割安度は縮小するだろう」

「長期的にみてだが、韓国企業にとっては新たな消費者層が生まれる可能性がある。インフラ投資も見込める。さらに韓国企業にとっては、新たな労働者を雇用する機会が生まれるかもしれない。東西ドイツの統一で起きたことが期待できる」

──日本はかつて「朝鮮特需」が、高度成長の大きな原動力となった。今回も恩恵は期待できるか。

「日本に関しては、小さな影響しかないとみている。北朝鮮の経済規模は小さく、お隣の韓国には直接的なインパクトがあるかもしれないが、日本への影響は大きくないだろう」

──新興国株市場の見通しは。

「全体的な見通しはポジティブだ。新興国株のサイクルは5─8年が多いが、直近では2016年半ばまで、先進国株をアンダーパフォームしていた。その後、回復期に入っているが、まだ2年目だ。数年は回復が続くだろう」

「理由は3つある。1つは堅調なファンダメンタルズだ。ほとんどの国で成長率は明るい見通しで、インフレも抑えられている。金利水準も低く、企業収益は昨年で20%超、今年も15%程度の拡大を見込んでいる。

「政治面での変化も大きい。インドはマーケット志向の政策が採られており、様々な構造改革が進んでいる。アルゼンチンやインドネシアでは、改革志向の政権が政策に取り組んでいる。経済的な規律がしっかりしていれば、自律的な成長が見込める」

「2つめは、バリュエーションだ。新興国株はPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)でみて先進国株に対し20%超の割安となっている。そのギャップは縮小する方向であり、その過程では先進国株に対し、アウトパフォームするだろう」

「3つめは需給だ。グローバルな投資家は、新興国の資産についてベンチマーク対比でアンダーウエートが続いていた。だが、ファンドへの流出入をみると、新興国に回帰する方向にある。昨年は過去7年で一番ポジティブなフローがあった。それは株式だけでなく債券も同様だった」

──リスクは。

「3つのリスクがある。米金利の上昇、貿易問題、そして選挙だ。6月にもメキシコで大統領選が行われるが、左派候補が勝利する見通しとなっており、そうなればネガティブだ。ブラジルやトルコでも選挙が予定されている。これらはノイズとなっており、投資家の懸念を呼んでいる」

──米利上げは、新興国株に大きな影響を与えるのではないか。

「米金利の上昇はここ数年言われてきたことで、新しいトピックではない。多くの国で経常赤字が縮小するなど、新興国のファンダメンタルズは改善している」

「ただ、一部にはぜい弱性を持つ国もある。ブラジルやトルコ、アルゼンチン、南アフリカなどは、比較的大きな経常赤字と対外債務があり、債務のコントロールもうまくいっていない。外国資本への依存度も高い」

「一方で米金利上昇の影響を受けない国もある。最大の新興国である中国は、純債権国であり、米国にお金を貸している立場だ。このところ中国は新興国株の中で、一番良いパフォーマンスを示している」

「極めてネガティブなのはブラジル、メキシコ、南アフリカ、トルコ。極めてポジティブなのは、中国、インド、ロシア、アルゼンチンで、魅力的な個別の投資機会を持っている。アルゼンチンは最悪期を脱したとみている」

──年金など日本の投資家の新興国株の運用状況は。

「日本の年金などの多くは、引き続き新興国株をベンチマークに対してアンダーウエートにしている。これは、長期にわたって新興国株が先進国株に対し、アンダーパフォームしてきたからだろう。彼らは、新興国に資金を投資する機会を待っている状況ではないか。徐々に資金を新興国に戻す動きも見られている」

インタビュアー:伊賀大記 編集:田巻一彦

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