July 5, 2019 / 6:22 AM / 14 days ago

標準シナリオ維持も下方リスク大、緩和はあらゆる手段排除せず=雨宮日銀副総裁

[東京 5日 ロイター] - 日銀の雨宮正佳副総裁は5日、都内で開かれた「ロイター・ニュースメーカー」(リフィニティブ共催)で行った講演後の質疑応答で、現時点で物価安定目標に向けたモメンタムは維持されえているほか、年後半に景気が回復するという標準シナリオも維持されているとしながらも、下方リスクは大きいと述べた。また、金融政策運営は、あらゆる手段を排除しないとした。

 7月5日、日銀の雨宮正佳副総裁(写真)は、都内で開かれた「ロイター・ニュースメーカー」(リフィニティブ共催)で行った講演後の質疑応答で、現時点で物価安定目標に向けたモメンタムは維持されえているほか、年後半に景気が回復するという標準シナリオも維持されているとしながらも、下方リスクは大きいと述べた。(2019年 ロイター/Issei Kato)

<物価モメンタム損なわれる状況なら躊躇なく追加緩和検討>

日本経済は緩やかな拡大を続け、消費者物価も2%に向けて徐々に上昇率を高める、というのが日銀が示す経済・物価の標準シナリオ。雨宮副総裁は「海外経済動向や消費増税の影響を含めて、標準シナリオを巡る下振れリスクは大きい。リスクがどのように現れていくか、注意深く点検すべき状況にある」との認識を示した。

6月日銀短観でも、輸出・生産が弱く、内需が持ちこたえている構図だとし「企業の設備投資意欲は短観でも強い。内需の持続力、底堅さがどの程度続くかが日本経済の当面のポイント。これに影響を及ぼし得るのは、海外経済の調整がどこまで深くなるのかだ」と述べた。

こうした景気判断の下、追加金融緩和については「物価安定目標に向けたモメンタムが維持されるかどうかを基本に政策判断を行う」と説明。そのうえで「今の段階では、標準シナリオは維持している。ただ、さまざまな下方リスクがある。そうした下方リスクで物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれる状況になれば、ちゅうちょなく追加緩和を検討していく方針」と述べた。そのうえで、7月の金融政策決定会合での政策変更の可能性については「金融政策は常に毎回毎回の金融政策決定会合で情勢をしっかり把握し、議論して適切な判断をしていくことに尽きる」と付け加えた。

物価指数は携帯通話料金などさまざまな要因で上下するなか「物価指数の動きの背後にある中長期的な物価形成の趨勢を形作る動きかどうかが重要」と指摘。需給ギャッププラスの状態が続くかどうか、企業の賃金・価格設定スタンスが積極化していくかどうか、企業や家計の中長期的な予想物価上昇率が高まっていくかなどに着目し「需給ギャップはプラスの状態が続き、幅広い先で価格引き上げの動きなみられる。こうした動きが続けば、人々の物価観も遅れて変わってくる」との見通しを示した。こうしたことを踏まえ、物価モメンタムは「現段階で維持されていると判断している」とした。

<追加緩和、4つの手段の単独・組み合わせ・応用系>

経済や労働市場の状況に比べると賃金・物価の伸び率が控え目な状況は先進国共通の現象であり、日本では顕著に表れていると指摘。日本が顕著な理由について、雨宮副総裁は、正規雇用の賃金が上がり難い状況や企業の省力化・効率化などの要因に加え「企業や家計に定着したデフレマインドが根強く残っている」と分析した。

そのうえで「人々の物価観を変えるには、ある程度時間を要することは念頭に置く必要がある。それを念頭にここしばらくは金融緩和の持続性を念頭に置いて、さまざまな措置を講じてきた」と述べた。

日銀は、金融緩和手段として、短期政策金利の引き下げ、長期金利操作目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベース拡大ペースの加速という4つを挙げている。マイナス金利の深掘りは金融機関への影響が大きいため、排除するかとの質問に対し「金融政策運営を考える場合、あらゆる手段を排除せずに考える」と述べた。さらには「4つの手段を単独で使うこともあれば、組み合わせることもあれば、応用系を考えることもある。あくまで、政策手段の効果と副作用をバランスよく考えながら、その時の情勢に応じて最適な政策を選んでいくことに尽きる」と述べた。

清水律子 伊藤純夫 編集:内田慎一

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