[東京 28日 ロイター] - 甘利明経済再生担当相は28日、都内で記者会見し、自らの金銭授受疑惑の責任を取って閣僚を辞任する意向を表明した。同氏は、安倍晋三内閣の看板政策・アベノミクスの司令塔役を担ってきただけに政権に打撃となるのは必至。
後任には石原伸晃・元自民党幹事長を起用し、2016年度予算案の審議を前に早急に態勢立て直しを図る。
甘利再生相は会見の冒頭、週刊誌の報道で表面化した金銭授受疑惑で「国民にご心配をかけ、深くおわびする」と陳謝。自らの金銭授受に関しては「大臣室で現金をスーツ・ポケットにしまった事実はない。秘書に適正な処理を指示した」と述べた。
一方、秘書が受け取った金銭の一部である300万円は、秘書の1人が使ったことを認めた。そのうえで「(秘書の)監督責任を重く受け止めている」と強調。「知らなかったとはいえ、私の政治家としての美学、生きざまに反する。閣僚の職を辞することを決断した」と語った。
甘利氏はまた、安倍首相に対し「ここに入る直前に(辞任の)意向を伝え、慰留された」ことを明らかにした。その上で「安倍政権を支えるのが私の役目。障害になってはしのびない。議員活動を一からやり直す」と述べた。
甘利氏は、デフレからの脱却と経済再生を掲げたアベノミクスを推進する中心的な存在であり、自民党総裁選で安倍首相(総裁)が当選するよう党内で強力に働きかけた「盟友」でもある。
アベノミクスが始まって以来、日経平均は上下動を伴いながら上昇を続け、そのことが高い内閣支持率につながり、安倍政権の安定性を高めてきた。
それだけに市場の一部からは「甘利氏はリフレ政策の要だっただけに、辞任によりアベノミクスの勢いが弱まる。辞任を受けて短期的な日経平均先物売りが出たが、アベノミクス相場への影響が懸念されたのだろう」(松井証券・シニアマーケットアナリスト、窪田朋一郎氏)との声も出ている。
29日には2016年度予算案の趣旨説明が衆院で行われ、いよいよ予算審議が週明けから本格化する。安倍首相は早急な態勢の立て直しを迫られる事態に直面しており、経済問題に幅広い見識を持つ石原元幹事長に後任を要請した。
安倍首相は28日夕、記者団に対し、石原氏が行政改革などで強い「突破力」を発揮した点を高く評価し、後任に起用したと語った。
ただ、野党側は安倍首相の任命責任を厳しく追及する方針。絶対多数の与党ペースで進むとみられていた国会審議が波乱に直面する可能性も出てきた。
今年の通常国会は、7月に参院選が予定されており、会期延長が難しい状況。さらに5月下旬には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を控え、審議日程はかなり窮屈になるとみられていた。そこに甘利氏の辞任が重なり、政府提出法案の中には成立が難しくなるものも出てきそうだ。
*内容を追加しました。