July 8, 2014 / 8:53 AM / 5 years ago

焦点:4─6月GDP‐7%予想も、消費など夏場の回復ペースが不透明

[東京 8日 ロイター] - 消費増税の影響が注目されてきた4─6月景気動向は駆け込み需要の反動が予想以上に大きく、深い谷を刻む可能性が出てきた。消費の回復に力強さがなく、耐久消費財を中心に在庫の積み上がりが鮮明となり、4─6月期国内総生産(GDP)は年率7%台の落ち込みを予想する調査機関も出てきた。政策当局は夏場の回復シナリオを描いているが、どの程度の勢いが確保できるのか、不透明になっている。

 7月8日、消費増税の影響が注目されてきた4─6月景気動向は駆け込み需要の反動が予想以上に大きく、深い谷を刻む可能性が出てきた。都内で6月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)

<落ち込みは想定以上、民間の下方修正相次ぐ>

今回の消費増税に伴って、1─3月期GDPは年率プラス6.7%と山が非常に高くなった。増税後は、反動減があるものの小売業の強気見通しや賃上げ、公共投資の前倒し発注などもあり、当初の見通しでは反動減が4%程度になるとの予想が多かった。

だが、ここにきてその見方を修正する動きが続出している。「5月までの指標が軒並み期待外れになった」(第一生命経済研究所)ことや、回復ペースが思ったほど強くないいとの見通しが広がっているためだ。

最も動向が注目されてきた消費については、GDPの「民間最終消費支出」を占う5月消費総合指数(7日発表)が前月比1.3%増と、4月の同8.1%減の後としては「弱いと言わざるを得ない」(バークレイズ証券)という結果にとどまった。

駆け込みの大きかった住宅投資も、新設住宅着工に予想以上の落ち込みが続いており、足元では急減している。

生産も予想以上の減産見通しだ。4月、5月とも企業の提出していた生産計画を下回る結果となり、伊藤忠商事では、予測指数からみて4─6月期の生産は前期比マイナス3.2%程度に下振れすると見込んでいる。

結局、今回の反動減の局面では、前回増税時を上回る落ち込みが避けられそうにない。BNPパリバ証券では、4─5月の景気一致指数の平均値が1─3月の平均を下回る幅が前回消費税引き上げ時に比べて大きいことから、落ち込みが「より大幅」との見方を打ち出した。

  伊藤忠経済研究所では、4─6月の実質GDPをマイナス6%と予測。バークレイズ証券も、従来の前期比年率マイナス3.8%からマイナス7.3%まで一気に引き下げた。

<積み上がる在庫、先行き不透明感>

問題は先行きの回復力だ。足元の反動減が終わればプラス成長に戻れるのか、その勢いはどの程度か──。7─9月期の成長率は、次の10%への消費税率引き上げの判断に影響するため、注目度が高い。

今のところ、ほとんどの調査機関では7─9月期に2%程度のしっかりとしたプラス成長に戻るとみている。

  ただ、7日発表の5月景気動向指数は、一致指数が4月から横ばいにとどまったうえに、先行指数は下げどまりどころか低下を続けた。その原因が在庫関連の指数の悪化だ。

というのも、5月鉱工業生産では、出荷が4カ月連続で減少しているにも関わらず生産調整が間に合わず、耐久消費財を中心に在庫が積み上がり出した。資本財の国内出荷も4月の大幅減少に続き、5月も落ち込みが止まらず、設備投資に不透明感が漂う。

消費関連企業のマインドを占う街角景気は、増税に伴う腰折れはせず、しっかりとはしている。だが、先行き回復のモメンタムは「エンジン全開」から遠いイメージだ。

6月の景気ウォッチャー調査では、足元における回復傾向は継続しているが、景気の分岐点を示す50の水準を取り戻せていない。先行きは家計関連のウォッチャーの慎重な見方が足を引っ張り、改善はストップし、悪化見通しに転じている。

調査からは「夏のボーナス時期には前年並みに回復すると予想されているが、現在はその兆しはない。消費回復が9月以降になるようであれば、上期は厳しい状態になる」(四国、乗用車販売店)といった慎重な声も聞こえる。

よりサンプル数の多い日銀短観では、非製造業の先行きマインドは改善が止まっている。小売業に関しては改善見通しとなっているものの、その幅は足元の落ち込みをカバーできる大きさではない。

伊藤忠経済研究所では、実質賃金が97年度の増税時には1.1%減だったのに対し今回は3.4%減であり、マイナス幅は3倍超となっていることから「実質可処分所得の目減りが深刻なため、改善には至らないだろう」とみている。

7─9月にGDPがプラス成長に反発するためには、1)公共投資が高水準を維持する、2)輸出の増加が見込める、3)設備投資が好調に推移する、4)夏のボーナスの増加で消費マインドが回復する──などが必要だ。

一部のエコノミストは、公共投資の前倒し発注の結果が最も強く出るのは7─9月期であり、仮に輸出の増加が想定よりも小さかったとしてもGDPを支える構造になっており、政府もそうなることを予期し、4─6月期のGDPマイナスが大きくなっても7─9月期のプラスは相当に大きくなるとみている。

だが、7─9月期以降の回復力に対する懸念が、民間エコノミストの中で浮上しつつある。

第一生命経済研究所・主席エコノミストの新家義貴氏は「現在のところ、あくまで駆け込み需要の反動減の影響が大きいが、仮に今後、反動減からの戻りが予想以上に弱く、何らかのショックで一段の落ち込みを見せるような場合には、景気後退局面入りの可能性も否定できなくなる」と予想。

そのうえで「反動減からの消費持ち直しペースについては、不透明感が大きい。このため警戒が必要だ」と指摘している。

中川泉 編集:田巻一彦

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