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焦点:中国指導部、党大会で経済担当刷新の人事着手へ

[北京 14日 ロイター] - 中国指導部は来月16日に開幕する第20回共産党大会で、経済チームの主要メンバーを過去10年で最も大幅に刷新する人事に着手する。経済成長見通しが悪化する中で、改革志向の政策担当者は表舞台から退くとみられている。

 9月14日、中国指導部は来月16日に開幕する第20回共産党大会で、経済チームの主要メンバーを過去10年で最も大幅に刷新する人事に着手する。写真は習近平氏と李克強氏氏。北京で3月10日撮影(2022年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

党大会では習近平氏の異例の最高指導者(党総書記)3期目続投が正式に決まる見通し。形式上、現指導部は来年春の全国人民代表大会(全人代)まで存続するが、今期限りで退任する李克強首相の後継者が誰になるのかなどの主要人事について、この党大会で手掛かりが示されることになる。

首相として2期10年にわたり経済政策のかじ取りをしてきた67歳の李克強氏は、習氏の権力基盤が強化されるとともに役割が縮小してしまった。それでも経済の国家統制主義に傾く習氏と異なる穏健派的な発言によって、投資家に安心感をもたらす存在だった。

中国の政策の内情に詳しい人物の1人は「李克強氏の権限は限定されているが、少なくとも彼は習氏と同時に任命された。次の首相はさらに力が弱まってもおかしくない。もはや今の政治構造であれば、(首相として)誰が後を継いでも大差はなくなる」と述べた。

このほか経済チームでは70歳の劉鶴副首相と66歳の郭樹清銀行保険監督管理委員会主席も来年春に退任する公算が大きい。69歳の習氏自身は「党大会時に68歳、もしくは2期日10年務めたら引退」という慣例を破るものの、他の指導部メンバーにはこの慣例を引き続き適用すると見込まれるからだ。

李克強氏は北京大学で経済学の博士号を取得しており、英語も流ちょうに話す。劉鶴氏はハーバード大学で学んだ経済学者で習氏が最も信頼する側近の1人であり、米国との貿易協議では中国側の主な交渉担当者だった。また劉鶴氏は、過剰生産設備や金融リスクの圧縮といった以前に習政権が打ち出した痛みを伴う改革のブレーンとみなされている。

<後継候補>

対照的に次期経済チームは、中国国内で教育を受け、習氏に強い忠誠心を持つ人々が中心になるかもしれない。彼らには現チームが持つ豊かな国際感覚や洗練された教養、ある程度の独立心などが欠けている、というのが関係者の見方だ。

李克強氏の後継者争いで先頭を走っているのは全国政治協商会議主席で共産党中央政治局常務委員会委員の汪洋氏(67)と、胡春華副首相(59)の2人。両氏とも経済規模が大きい広東省の指導者を経験し、実務的で改革に前向きな政治家とみられている。しかし複数の関係者は、経済の国家統制色がより色濃くなっている現状では、大胆な改革に動ける範囲は非常に狭いと指摘した。

また習氏に忠実とされる重慶市トップ(党委員会書記)の陳敏爾氏と上海市トップの李強氏も次期首相候補の一角に挙げられている。

一方劉鶴氏の後任で最有力視されているのは、国家発展改革委員会を率いる何立峰氏だ。やはり習氏側近の1人で、25年間福建省の要職を歴任してきた。

2013年終盤、最高指導者の地位に就いたばかりの習氏は包括的な経済改革を打ち出したが、その後中国市場の自由化は勢いを失っている。

シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院のバート・ホフマン東アジア研究所所長は「20回党大会では新しい経済チーム(のメンバー)が選ばれる余地は大きい」と予想する。

その上で「習氏が提示した幅広い目標の達成を目指す実務的な集団になれば、2013年に掲げた改革方針の未達成項目のほとんどが再登場し、経済成長のエンジンがまた着火すると期待できる。逆に新チームが統制主義傾向の強まりを反映するなら、成長低迷は続くのではないか」とみている。

<未曽有の課題>

新経済チームは、多くの人々がもう続けるのは難しいとの思いを強くしているゼロコロナ政策の出口を探ることから、金融システムの脅威となっている不動産危機、米国との経済摩擦までかつてないほど厳しい課題を受け継ぐ。

在中国欧州連合(EU)商工会議所のイエルク・ブトケ会長は「国内外で高まり続ける諸問題に直面している中国政府の関心は、経済改革から離れつつあるように見受けられる」と語り、同会議所としては改革・開放路線に復帰することこそ、中国にとって経済的な潜在力をフルに発揮できる最善の方法だと信じていると強調した。

実際、ゼロコロナ政策がすぐに大きく緩和される兆しがほとんどないことから、一部の市場関係者は今年の中国の経済成長率が3%ちょうどにとどまると見込んでいる。予想通りなら、パンデミックが始まった2020年の2.2%を除くと1976年以降で最低の伸びになる。

こうした中で、限られた範囲で改革を実行しつつ必死に中国経済の安定化に向けて取り組んできた李克強氏は、退任後も改革者として人々の記憶に残ることを望んでいる様子がうかがえる。

李克強氏は先月、過去40年にわたる中国の経済発展の象徴とも言える深センを訪れた際、「中国の改革・開放路線は今後も続いていく。黄河や揚子江の流れは決して後戻りしない」と断言した。

同氏の発言を含む動画はソーシャルメディアに投稿された後、削除されている。

(Kevin Yao記者)

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