July 15, 2015 / 7:17 AM / 5 years ago

焦点:中国の海洋進出に対抗、インドが哨戒活動を強化へ

[ポートブレア(インド) 15日 ロイター] - インド洋に浮かぶアンダマン・ニコバル諸島の静かな港に今月、インドの軍艦4隻が相次いで入港した。これらの軍艦は東南アジア各国に寄港し、領有権問題で緊張の高まる南シナ海での演習を終えたばかりだ。

 7月15日、アンダマン・ニコバル諸島へのインド軍艦4隻の到着は、インド洋進出を強める中国に対抗するための戦略拠点として、同地の重要性が高まりつつあることを象徴するものだ。写真はメディア取材に応じるインド海軍関係者。シンガポールで5月撮影(2015年 ロイター/Edgar Su)

アンダマン・ニコバル諸島は美しいビーチやダイビングの名所として有名だが、軍艦4隻の到着は、インド洋進出を強める中国に対抗するための戦略拠点として、同地の重要性が高まりつつあることを象徴するものだ。

ロイターは、インドの首都ニューデリーと同諸島の行政府所在地である港湾都市ポートブレアで取材を実施。国防当局者らは、同諸島で陸海空軍力を増強し、小規模基地を戦略的情報収集拠点に変える計画を明らかにした。

一部当局者は基地拡張計画について、以前は行き詰まっていたことがあるとした上で、インド洋での伝統的覇権回復を目指すモディ政権の下、新たな活力が生まれていると語った。

ベンガル湾とアンダマン海に挟まれた同諸島は、インド本土よりもミャンマーやインドネシアの方が距離的に近い。さらに重要なことに、同諸島の南端は、インド洋への玄関口であり、中国が輸入する石油の大半が通過するマラッカ海峡にも近い。

アンダマンのA・K・シン副総督は、ロイターの取材に対し「世界で最も交通量の多い海上路はすぐ南にある」と指摘。「諸島については非常に長い間、守られねばならないという要塞意識を持っていたが、極めて戦略的に位置する島々をインドの跳躍台として見るべき時が来ている」と語った。

<潜水艦の監視>

インドと中国は、1962年にヒマラヤでの国境をめぐる紛争が起きるなど、長きにわたり不安定な関係が続いてきた。最近では、中国潜水艦によるインド洋進出にインド政府が懸念を表明している。

一方、中国国防省は、インドを含む周辺各国の軍と中国軍は協力していると主張。潜水艦の航行も「地域の平和と安定に一段と寄与するものだ」と譲らない。

いずれにせよ、インドはアンダマン・ニコバル諸島の北端と南端に以前より長い滑走路を建設しており、軍当局者によると、それらの一部は長距離偵察機の離発着を可能にするためだという。

そのうちの1つは、マラッカ海峡の入り口から240キロに位置する大ニコバル島のキャンベルベイにある。

2012年に3500フィート(1060メートル)の滑走路を持つ空軍基地が同島で開設された時、中国の軍事評論家はそれを攻撃的な動きだと批判していた。インド軍当局は同基地の滑走路を来年までに1830メートルに伸ばし、その後は3000メートルを超える長さにする計画を持っている。

同計画をよく知る海軍パイロットによれば、同国空軍はすでに米ボーイング製の対潜哨戒機「P8i」を諸島北部ポートブレアに飛ばしているが、キャンベルベイの滑走路が1830メートルに伸びれば、諸島南部にも巡回する予定だという。

<戦略的な金鉱>

またインド軍当局者らは、同諸島を拠点とする海軍艇の数を、2022年までに現在の倍となる32隻に増やしたいとしている。

当初は、すでに配備されているような巡視艇や高速戦闘艇、水陸両用艦などを増やす意向であり、南シナ海での2カ月に及ぶ演習に参加したような軍艦は2022年までの最終段階でアンダマンに展開する予定だという。

一方、中国海軍との間に大きなギャップがあるのは潜水艦の能力だ。

2002年ごろには、同諸島南部カモルタの港に潜水艦基地を建設する案が現地軍司令部から出されたが、当局者の話では、こうした計画は現在棚上げとなっている。

インド海軍が現在保有する潜水艦は、老朽化したディーゼル潜水艦13隻のみ。対照的に中国は、原子力潜水艦を含む約70隻の陣容を誇る。

地上部隊では、インド軍は向こう3年の間に、アンダマンの歩兵旅団を3000人程度増やす計画。

ポートブレアの軍当局者は匿名を条件に、もっと早く増員する必要があると指摘。その上で「ただわれわれは投資を始めており、かつてないほど強化されている」と語った。

同諸島の東の海上にある孤島ナルコンダム島では、生息する希少な鳥の保護を訴える環境活動家の反対により、レーダー基地の建設が過去何年も遅れてきた。モディ政権は、同レーダー基地の建設にもゴーサインを出した。

今後の印中関係を展望する著書「Cold Peace:China-India Rivalry in the 21st Century(原題)」を執筆したジェフ・スミス氏は、アンダマンが「戦略的な金鉱」であることにインドはようやく気付き始めたと指摘。

「インド洋での中国の活動ペースをめぐる懸念が増すことで、インドがアンダマンをさらに重要視する可能性が高まっている」と語った。

(原文執筆:Sanjeev Miglani、翻訳:宮井伸明、編集:伊藤典子)

*写真を差し替えて再送します。

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